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土と上手に付き合うための入門書
土壌診断の解説で、本誌でもお馴染みの関祐一氏による新著。氏いわく「学者さんに言わせるとまったく駄目な本」と謙遜するが、専門的な土壌科学の世界が、一般の農業関係者にもわかりやすいよう絞り込まれ、噛み砕かれている。作物を育てていく上で最低限必要な「土に対する概念」を身につけるには、最適の入門書といえるだろう。
土壌学の歴史に始まり、土の正体や組成、土壌pHや塩基バランスの改良方法などが綴られているが、徹底的なまでに「理系」色を抑えているのが面白い。子供向け絵本のようなかわいらしいイラストを多用し、土を擬人化したユニークなたとえ話は、複雑難解な学問のイメージを解きほぐしてくれる。驚くほどシンプルな作用の結果が、圃場の性質を左右していることが見えてくるのだ。
地球の半径6400kmに対して、世界平均でわずか18cmの厚さしかないという土。その限りある表面資源の性質を理解し、上手につきあうことが、農業に従事する者に与えられた宿命であり、楽しみでもあることを本書は教えてくれる。(土井学)
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