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農業から離れ行く「有機・無農薬」のイメージ
―羽島パワーファーム公開パネルディスカッション「有機農産物を問う」より―

皿井重典(イシグロ農材栽培システム開発室次長):はい、買う方と売る方の力関係があると思うのです。あるところから集めてある市場まで流すと、その中で規格と言うものが当然出てきます。何が規格の対象になるかと言うと、形や大きさ、重さあたりが直接金額に跳ね返ってきます。それでランクができるわけですが、重さが出ればお金が取れるという点は、今の流通の中での欠点と言うか、弱点になってしまっているなと思います。

 しかし、「ウチのトマトは甘いですよ、健康ですよ」ということを売りにした生産者さんが増えてきているのも現状です。

福井:今、流通の話が出て参りましたので、平原さんにお伺いしたいのですが。

平原賢二(ユニー株式会社食品本部青果部長):トマトに対する今現在の消費者のニーズは、高糖度のトマトに対するものが一番高いわけですね。特に、夏場から秋口にかけては適地適作で作ったトマトでも、高糖度のものは出現していない。だから夏場の期間の高糖度のトマトには、ビジネスチャンスがあるわけです。

福井:つまり、品質はブランドになるんですよね。ところが石原さんが一生懸命志向しておられる、農薬を使わない、あるいは農薬を減らしてやっていこうというのは今のところブランドにはなっていない。小林さんは以前から有機無農薬を実践しておられて、それに対する考え方はいかがですか?


市場が求める単一周年栽培と無農薬栽培の矛盾

小林寶治(有限会社創農社・有機農産物栽培家):私は輪作、適期適作ということを大切にしていますが、今の農業の方向、今、石原さんがやっておられるようなトマト単作で規模を大きくして、という農業を志向すればするほど、無農薬っていうのは難しくなると思います。

福井:単一作物の周年栽培というものを志向すればするほど、無農薬は難しくなる。しかし、現実にはそういう経営をせざるを得ない。今言われた輪作で、いろいろなものをその季節ごとに作っていけば、無農薬に近いところも可能だと思うのですが、それがなかなかできない農業の問題点、そこをどういう風に調整していくかが今の課題なのだと思います。河野さんにお伺いしたのですが、やはり周年でトマトを食べたいですか?

河野:食べたいです。

福井:もうひとつ平原さんに、周年でトマトを取扱いたいですか?

平原:そうですね、ここ2年くらいは、キュウリよりトマトが売上第一位となっておりますから。

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