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国民不在のエリートが産む恐怖の秩序
絶望的な読後感。霞が関主導の”癒着”構造。しかし”菅(首相)”ではなく”官”が企むこの共犯関係を直視せねば”政治主導”の行革は不可能と著者は告発する。
ゆえにこの本は国家権力への内部告発であり当然ベストセラーになった。しかし「国家中枢の崩壊」という割には論旨は手垢にまみれた政官批判。が、この内実が異様に恐ろしい。ひと言で言えば、財政破綻の温床となる公務員制度改革を「国民」以外は誰も望んでいない事実。国民の奉仕者である公務員が「省益」をまもるためだけに暗躍する姿が痛いほど生々しく描かれる。救いがないのはその無様さを曝したのが東日本大震災だということ。著者は有事に混乱する政府、ここぞとばかりに増税策を企てる財務省の魂胆。両者に癒着する独占企業の東電、さらに東電の広告費に群がるメディア…公正(正義)の顔を見せる悪の所行を連綿と書く。だが、それに対抗できる”思想”が弱い。氏の良識を飲み込むほど、霞が関の”常識”が私たち国民にまで”巧みに”食い込んでいるからだ。(田中蝉丸)
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