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また、安定供給の責任を果たしつつお客様の安心を得ていくために、農薬や化学肥料を適正使用し、その情報公開に努めようとする農業経営者の取り組みに対して、皆様の積極的なご理解とご協力を頂きたいと存じます。そして、農業生産者と需要者業界の皆様だけでなく農業生産技術の開発企業を含めて、農業にかかわる全ての業界人が理念と技術情報を共有した新しい時代の「『安心』の農産物マーケティング」を成立させていこうではありませんか。
一方、同時に行ったパネルディスカッションでは、野菜卸、加工メーカー、農薬業界、化学肥料業界からの4氏が、消費者の信頼を得る農業技術評価と情報公開の在り方、現在の農薬や化学肥料の技術や安全性の問題について説明を行なった。
ところで、自分たちの産物を宣伝するのに、「有機・無農薬」を良しとしている業界に、「わざわざ火中の栗を拾うような話題を出す必要があるのか」という人もいた。
しかし、僕はこう思う。
お客さんに対して我々は、農薬や化学肥料を使った農業の安全性やその技術的価値を伝えていく努力が不足しているのではないか。今、我々が第一になすべき事は、食べる人が不安に感じている「農薬」についての正しい情報を伝えることである。それは、単に適正農薬使用の安全性を語るだけでなく、農業経営者が農薬適正使用に関する自らの責任を明確にして、その「信頼」を得る努力と同時に行われるべきことである。
また、食べる人々の「安心」と「信頼」を得ていくために行われるべき「情報公開」を進めるために、農業経営者としては現在の農薬登録の問題点を人々に知らせ、その改善への協力を求めて行くべきである。
仮に安全性の確認されている農薬であっても、生産が求められる作物での農薬登録がなければ、農業経営者は登録外使用の非難を受けることになる。あるいは、現在使用が認められている農薬より安全性の高い農薬であることを知りながら、農薬登録の制約で使えないこともあるということを、もっと幅広い人に伝えるべきなのだ。消費者だけでなく、外食業や量販店のバイヤーたちも、主要な10数品目の野菜を除けば使うべき農薬がほとんど無いということを知らないのだ。その結果、農業経営者が正確な情報公開を行えず、それが消費者の不安と不信の原因になっているのだ。
農薬メーカーにしても登録費用の回収できない農薬登録はできないだろう。そこで、こんな提案をしようと考えたのだ。
食べる人(お客様)に、根拠のある「安全性」と「安心」を提供するために、皆で正しい農薬技術の情報を伝え、同時に安全性保証のため農薬登録の幅を広げていくことが必要である。さらには、その登録費用の負担を、農薬メーカーだけでなく農産物の流通・消費業界(ひいては食べる人自身)が負担していくことも考えるべきではないのか。その費用負担は、外食業や量販店の店舗数で割ったとしたらそれは可能な負担なのではないか、と。
消費者(食べる人)が「有機・無農薬」の農産物を求める背景には、農業技術に対する「不安」と生産者たる農家や農産物販売者への「不信感」がある。我々は、その不安や不信感を裏返しただけの「有機・無農薬」の農産物マーケティングに何時まで乗っていられるというのだ。科学的に安全性を確認できる技術の採用とともに、供給者としての経営責任を明確にしつつ、食べる人たちのための「安全」を保証し、農業生産を託される者としての「信頼」を獲得する努力こそが必要なのである。そして、そのために農業の生産と消費にかかわる全ての者たちがそれに共同の責務を自覚し、その役割を果たすべきなのである。
一方、同時に行ったパネルディスカッションでは、野菜卸、加工メーカー、農薬業界、化学肥料業界からの4氏が、消費者の信頼を得る農業技術評価と情報公開の在り方、現在の農薬や化学肥料の技術や安全性の問題について説明を行なった。
ところで、自分たちの産物を宣伝するのに、「有機・無農薬」を良しとしている業界に、「わざわざ火中の栗を拾うような話題を出す必要があるのか」という人もいた。
しかし、僕はこう思う。
お客さんに対して我々は、農薬や化学肥料を使った農業の安全性やその技術的価値を伝えていく努力が不足しているのではないか。今、我々が第一になすべき事は、食べる人が不安に感じている「農薬」についての正しい情報を伝えることである。それは、単に適正農薬使用の安全性を語るだけでなく、農業経営者が農薬適正使用に関する自らの責任を明確にして、その「信頼」を得る努力と同時に行われるべきことである。
また、食べる人々の「安心」と「信頼」を得ていくために行われるべき「情報公開」を進めるために、農業経営者としては現在の農薬登録の問題点を人々に知らせ、その改善への協力を求めて行くべきである。
仮に安全性の確認されている農薬であっても、生産が求められる作物での農薬登録がなければ、農業経営者は登録外使用の非難を受けることになる。あるいは、現在使用が認められている農薬より安全性の高い農薬であることを知りながら、農薬登録の制約で使えないこともあるということを、もっと幅広い人に伝えるべきなのだ。消費者だけでなく、外食業や量販店のバイヤーたちも、主要な10数品目の野菜を除けば使うべき農薬がほとんど無いということを知らないのだ。その結果、農業経営者が正確な情報公開を行えず、それが消費者の不安と不信の原因になっているのだ。
農薬メーカーにしても登録費用の回収できない農薬登録はできないだろう。そこで、こんな提案をしようと考えたのだ。
食べる人(お客様)に、根拠のある「安全性」と「安心」を提供するために、皆で正しい農薬技術の情報を伝え、同時に安全性保証のため農薬登録の幅を広げていくことが必要である。さらには、その登録費用の負担を、農薬メーカーだけでなく農産物の流通・消費業界(ひいては食べる人自身)が負担していくことも考えるべきではないのか。その費用負担は、外食業や量販店の店舗数で割ったとしたらそれは可能な負担なのではないか、と。
消費者(食べる人)が「有機・無農薬」の農産物を求める背景には、農業技術に対する「不安」と生産者たる農家や農産物販売者への「不信感」がある。我々は、その不安や不信感を裏返しただけの「有機・無農薬」の農産物マーケティングに何時まで乗っていられるというのだ。科学的に安全性を確認できる技術の採用とともに、供給者としての経営責任を明確にしつつ、食べる人たちのための「安全」を保証し、農業生産を託される者としての「信頼」を獲得する努力こそが必要なのである。そして、そのために農業の生産と消費にかかわる全ての者たちがそれに共同の責務を自覚し、その役割を果たすべきなのである。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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