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特集

息子よ!後継者は君じゃなくてもよいのだ

次世代の後継者たちに求められるもの


昆:これからの農業は、他産業から経営ノウハウ、管理ノウハウをを取り込む必要がありますが、その担い手たちに求めるものは何ですか。

小野寺:これからの農業に求められることは、流通、スーパー、外食産業といったところに、したたかに自分達の商品を届けることでしょう。そのための人材が必要とされていくのではないでしょうか。日本の場合は農協があり、国がテコ入れして我々の農業を支えてくれていた。それでも日本の農業者は大変という言葉しか発しない。ニュージーランドでは行政改革とともに農家が非常に大変な時代を経て、今は世界一強い農業を目指している。彼らのしたたかな点は、農業者だけでなく流通の人達もが、皆で力を合せて、日本に売り込みに来ていることです。彼らは日本のマーケティング情報をリサーチして、自国の農業者にフィードバックしている。日本ではそういったことが全然できていない。

横森:いろいろな業種の皆さんと手をつながなければだめだと思うんです。

小野寺:それができるのも、経営者センスがあればこそだと思うんですよ。

木内:後継者をどういう観点で選ぶかという点では、まず中長期の計画を立てられるか、もう一つはソフト開発を続けられるかということです。私はまだ後継者を育てたことがないから想像としてしか言えませんが、その後継者が担う時間が、あと10年~20年と考えた場合、その間ソフト開発を続けながら、常にハードに落としていける、そういう人材を選びたいなと思っています。ソフト開発したものをハードに落として、ハード内の機能を充実させながら次のソフト開発をする。こうしたことを、時代のニーズに合わせながら繰り返せる能力が、いちばん求められているのではないかと思うのです。これは農業だからということではないと思います。他の産業と同じように、ソフトとハードと中長期の計画性、ビジョンを持っていない経営者はだめだと思うんです。


新規就農者たちを受け入れていくために


昆:「和郷園」ではどういう形で新規就農者を受け入れているのですか。

木内:我々の組合には研修センターがありますので、そこに新規に応募してきた人たちを寝泊まりさせながら、合否と言いますか、何人かに絞ります。そして実際に本人が希望する農場に、1週間から10日派遣するんです。作業をやらせてみて、就農して続けられそうなのか、農家側の方でもこういう人間が農場でやっていけるのかを見極めて、採用か不採用という形をとっています。これは一見するとドライな感じに見えるかもしれませんが、私はかなりいいと思っています。もう一つはあまりにビジネス化して農業を成り立たせてしまうと、スタッフの人達はその地域で孤立してしまいがちです。ですので、私の農場に来ている社員にはその地域の野球チームやサッカーチーム、農業改良のセミナーなどに行かせています。本人たちも、前向きです。その人間が、この地域に来た新規の農業者であることを、周りの生産者に認めてもらわないと困ると思うのです。私の農場だけでは、その人が仮に独立しても、その地域では孤立するだけなんですから、それでは意味がないと思うのです。この地域に来た人だから、地域との交流をしてもらう。私の農場の援護がなくても率先して受け入れてもらえる環境にならないと、根付いていかないと思っています。

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