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特集

息子よ!後継者は君じゃなくてもよいのだ

横森:本当にね、自分で言ったことに対して責任を持ち、努力する。私もどんどん言って、自分にプレッシャーをかけているわけです。だけど、お蔭様で手掛けたものは、すべて成功しています。後継者である息子にも、どんどん言ってプレッシャーをかけています。息子には昨年は現場を全部任せ、今年は流通、来年は経営とか経理の方を全面的に任せようと思っているのです。そして引退する予定を立てている。

木内:農業後継者が育たないと聞きますが、僕らの世代は、「あんたの親父は何をやっているの」と聞かれたとき、農家だとは答えられなかった。恥ずかしいというのもありますが、農業や農家と言うと、回りが一歩引いちゃうんじゃないかと考えたわけです。例えば少年期は、だいたい勉強に熱中したり、スポーツに熱中する。両方できない奴は横道に外れて、大人の真似して煙草をふかしたりして人の目を引く。青年期に入って今度は将来の職業を選択するという時に、俺はスポーツが得意だから野球界へ行くんだとか、音楽が好きだから音楽の道に行くんだとか言う人がいますよね。そういった時に、今までは農業という職業で注目を浴びる事例がなかったのだと思うのですよ。だから農業に後継者が生まれないのではないかと思います。

小野寺:アメリカでは、実業家が農場で老後を過ごす、農場を持つことが成功者のステイタスなんですよね。ところが日本ではそういったことが全くない。まさしくそれだと思うのです。アメリカでは、カーターさんはじめ歴代の大統領の多くが、農場経営しながら老後を過ごしています。日本でも、そうした感覚をもった人が首相になれば、世の中もっと変わるかもしれませんね。


子供たちが自分の家は農家だと言えるために


昆:それでは最後に、お一人ずつ何かございましたら、ひとことお願いします。

横森:私はもう、後継者が息子であろうと他人であろうと、また私自身の考えに添うかどうかは関係なく、ついてきてくれる人であれば誰でもいいと思います。

小野寺:自分の経営を継承してくれる人だったら、誰であっても、どこからでも、後継者を受け入れたいと思っています。今の家族経営そのものの形態を残しながら、村の良さ、地域の良さを、後継者に受け継いでもらいたい、とも思っています。それと子供がどんな職業に就いても、自分の家は農家なんだと自信を持って言えるような、そんな子供を育てたいと思っています。娘達を海外へ出して、彼女らは、自分の家が農業をやっていることがいかに素晴らしいことかを、他の国で学んで帰って来ています。我々の常呂町に来る海外の留学生たちも、自分の親が農場をやっているということを、誇りをもって話します。ですから、これからも、農業の素晴らしさについて、子供達も含めた次世代に伝えていきたいと思います。

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