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北北西に進路を取れ
見渡す限りのトウモロコシ畑を貫くハイウェイの人気のないバス停で、場違いな都会風の背広に身を包んだ一人の男が誰かを待っている。すると突然、農薬散布の飛行機が彼に襲いかかって来た…。農業に何の関係もなさそうなこのスパイアクション映画を本欄で取り上げたのは、まさに「白昼の悪夢」のような上記の場面が、この映画が撮られた頃にアメリカの消費者たちが感じ始めていた、農薬などの化学物質に対する漠然とした不安を象徴的に示しているように思えたからだ(1962年にはレイチェル・カーソンが「沈黙の春」を著している)。そうした視点を抜きにしても、セリフやナレーションや伴奏音楽すら入らないこの7分間のサイレントシーンは、全てのカットを同じ長さにするという実験を試みながら、サスペンスを盛り上げることに成功しており、活劇としての面白さに満ちている。ルーカスやスピルバーグの活劇しか知らない若い世代に是非見ていただきたい映画である。
北北西に進路を取れ 特別版
posted with amazlet at 11.11.02
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