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江刺の稲

「無肥料」の農業が我々に教えるもの

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第47回 2000年01月01日

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 今月号の経営者ルポで紹介した(有)ナチュラルシードネットワークの取材のために成田の石井吉彦さんを訪ねたことは別稿の通りである。その記事の中で紹介しきれなかった石井さんたちの「自然農法」のことを書いてみたい。
 今月号の経営者ルポで紹介した(有)ナチュラルシードネットワークの取材のために成田の石井吉彦さんを訪ねたことは別稿の通りである。その記事の中で紹介しきれなかった石井さんたちの「自然農法」のことを書いてみたい。

 石井さん宅では奥さんの両親である石井良雄さん・喜美枝さん夫妻が30年以上「自然農法」で野菜を作ってきた。石井家の自然農法は、結婚以来寝たり起きたりの暮らしを続けてきた喜美枝さんが、「食べ物に原因があるのでは」という理由で始めたものだった。

 案内された石井家の畑は小高い丘の上にあった。周りを雑木林に囲まれ隣接する畑もない。隔離された6反分程の畑で、石井さん御夫妻は30年以上も化成肥料はおろか有機質肥料も農薬も全く使わずにありとあらゆる野菜を作り続けてきたのだ。しかも、石灰などでの土壌改良すら行っていない。かつて、東京農大の研究者が調査に来て「やがて作れなくなる」と話していたと言うが、それから5年以上も経った今も全く変わりなく作物は育っている。

 肥料を食うはずのハクサイも、僕の目の前で大きな株に育っていた。果菜類のピーマンやナスでも周辺の慣行栽培をする人と変わらぬ収量をあげているという。ダイコンも種取り用の畝だというコマツナもネギも大きな株に育っていた。

 全く肥料も与えないなら堆肥でそれを供給しているのかといえば、そうでもない。石井さんの家では、堆肥といっても、畑で取れる作物の残渣や雑木林の落ち葉を材料にするだけで、畜糞などの窒素源は一切使用しない。石井さん宅では約500羽のニワトリを飼育し有精卵として販売しているが、そこから出る鶏糞は、近くの有機農業生産者に全部提供してしまうそうだ。チッソ分や特別な微生物資材など全く入れず、作物残渣や落葉を腐らせただけのものを、ピーマンやインゲンなどの一部の作物を作る時に手でふる程度にパラパラと与えるだけなのだという。ほとんどの作物の場合は虫が集まるという理由から、なるべく堆肥は使わないようにしているそうだ。堆肥も何にもやらないというやり方も10年間位やってみた。しかし、それだと土壌中の有機質分が無くなるせいか土がサラサラになりすぎ水持ちが悪くなってしまったため、あらためて堆肥を使っているのだという。

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