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バベットの晩餐会
今号連載「お客様のお客様が見えていますか?」の文中でみかなぎ・りかさんが言及していた映画である。「愛と悲しみの果て」(85年米)の原作者として知られるデンマークの女流作家アイザック・ディネセンがカレン・ブリクセンの変名で発表した小説の映画化で、19世紀後半のデンマーク・ユトランドの小さな漁村が舞台となっている。村の人々はプロテスタントの戒律を守り、禁欲的な共同体生活を送っていたが、パリ・コミューンの粛正から逃れてきた元一流レストランの女シェフ、バベットの出現により、平穏であったはずの人々の精神は微妙な動揺をきたすこととなる。それがクライマックスを迎える晩餐会の場面では、グロテスクであった食材が美しい料理に変身し、また消えて行く様が印象的に描かれ、人々の心との対比を見せている。ヌーヴェル・ヴァーグの往年の女優、ステファーヌ・オードランが久しぶりに元気な姿を見せているのも、映画ファンとしては楽しみの一つである。
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