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遠雷
ハウスのビニールをめくると、そこには巨大団地が広がっている…バブル初期の栃木県宇都宮市を舞台にしたこの映画は、そんなトップシーンから始まる。2月号のこの欄で紹介した「米」と見比べていただくと、都市近郊の農村の変遷が如実に見てとれると思う。周囲の農家が急激な宅地化に押されて土地を手放したり兼業へと走るなか、主人公の青年は一人かたくなに施設トマトに情熱を傾ける。しかし、好天による露地トマトの豊作で取引価格が値崩れを起こしたり、病害虫が多発生したりと、困難な状況が次々と彼に襲いかかる。「畜生、結局お天道様には負けるのかよ」と彼は嘆くが、追い込まれて始めて今まで目前にありながら見えなかった(見ようとしなかった)「お客様」の存在に気付き、軽トラでの行商に乗り出すことになる。こうした彼の「経営者としての目覚め」を、この映画ではハウスという閉鎖的な空間を立体的に描き出すことで表現することに成功している。
ジェネオン エンタテインメント (2008-02-22)
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