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怒りの葡萄
先月号に続き、ジョン・スタインベックの原作によるピューリッツァー賞受賞作品の映画化である。1930年代、経済恐慌下に追い打ちをかけるように襲った砂嵐によって、アメリカ中部の農地は大きな被害を受けた。大地主や土地社会はトラクタを導入して農地の整備に乗り出し、土地を追われた小作人たちは、高給を保証した求人のビラを信じてカリフォルニアに移動を開始する。しかし、長い苦難の果てにたどり着いた「夢のカリフォルニア」で彼らを待っていたのは、ビラで労働力を過剰に集めた末に賃金を切り下げるという搾取の構造であった…。監督のジョン・フォードは原作を忠実に再現しながらも、母親役のジェーン・ダーウェルにスポットを当て、逆境の中で男たちの精神的支えとなる前向きなたくましさを描き出し、アカデミー監督賞を獲得した。カメラマンのグレッグ・トーランドは、それとは対照的にフットライトの多用によって男たちの不安を表現し、その成果は、翌年の「市民ケーン」(オーソン・ウェルズ監督)でのパン・フォーカスの技法となって結実することになる。
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