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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

福島県原町市・高平賢一さんの場合

関 確かにいろいろな資材屋さんに聞いても、難しいと言いますね。つまみを動かすだけで戻るのが養液だとすると、養液土耕ではそういった調整が難しく、最終的には新しい土を入れない限りは、ブレーキのない車のように戻らなくなってしまう。養液土耕について、そういった問題を指摘して頂いたのは初めてです。


圃場・改善のポイント/土のしくみ・はたらきを知る
土耕の苦闘を生かす水耕


 例えは適切ではないかも知れませんが、人工皮革と本革を比べてみると、どんなに人工皮革に改良が施されても、その手触り、通気性、柔軟性などでは、やはり本革には及ばないということがあります。土耕と水耕についても、それと同じような感覚で見てしまってはいないでしょうか。

 栄養価という評価法は、ある食品一つを取り上げてその栄養価がどうかということを調べますが、私たちは多種の食べ物を食するので、それは食事全体から得る栄養価値とは別物と言えるかも知れません。土耕の野菜からしか得られない栄養分、逆に水耕の野菜からしか得られない栄養分もあるのかも知れません。私たちは、その両方からそれぞれのものを得ていけばよいのだと思います。

 これは食べる側の話しですが、作る側においては、この議論はさらに大きなものとなります。

 土耕で、有機肥料や堆肥を充分施し、土作りをする努力なくしては、本物の野菜など作れるはずがないという考え方もあります。

 しかし、この考え方で注意が必要なことは、土はその素質を簡単には変えないということです。

 人がいくらお金を掛けても、努力しても、改良されにくい土はやはり変わりません。

 今回登場の高平さんも、土の改良には人一倍の努力をした結果、そこの土は改良不可という判定を下し、経営を根本から考え直した体験の持ち主です。

 土作りのため重粘な土壌に堆肥を投入したり、排水性の改善のため暗渠排水を60cmごとに設置したり、更に肥料も手間を掛けたぼかし肥料を入れるなど努力されたのですが、結果は思わしいものではなかったとのことです。

 生産現場のハード面と共に、高平さんは農業を個人経営することの限界を感じておられ、その突破口は周年安定出荷しかないと考えられました。周年安定作のための一つの答えが、ロックウールを培地とした養液栽培だったということです。

 以前から繰り返しこのシリーズにおいて、吸収根の周りに存在する水に溶けた栄養分を取り入れるという点では、土耕も水耕も全く同じであると述べてきました。長年土耕に取り組んできた高平さんであるからこそ、この土耕と水耕の共通点に気付いておられました。

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