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ガヤヤのキノコ
大オーケストラによる交響曲のような物語だ。読む前、表紙に「大人の」童話という文字を見つけた。「大人の」?「童話」?何かしっくりこないままページをめくりだした。しかしその様な私個人が覚えたわだかまりは第一章で解消された。ロールプレイングゲームの傑作をやっているような気持ちになった。登場するキャラクターもユニークで、ゲームにしたらかなり売れるのではないかと思われる魅力的なストーリー展開だ。ある朝、牧場で育った主人公の日常にちょっとした異変が起きる。それ以降、小学校に上がったばかりのウンノ・タカユキは普段の世界と少し違う世界に入り込む。視野が広くなると元の世界に対しても客観的になれる。動植物と話ができるようになったタカユキはいったん牛になる決意をした。見事牛となったタカユキは、亀の精霊や牛たちの励ましを受け、インド洋の海底までオオマンタウミウシに会いに行く。どんな生き物のどんな病気も直す「ガヤヤのキノコ」栽培の秘訣を聞くために…。その道程でタカユキは自分を見つめ、成長していく。大人・子供、人間・動物などといった括りのない「存在」としての「夢」がやわらかく、あたたかく、しっかりと力強く描かれている。大人だけで独占せず、子供や動植物達、命あるものみんなと一緒に読みたい。
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