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BOOK REVIEW

沢蟹まけると意志の力

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著者:佐藤哲也
定価:1,300円
 出版社:新潮社


沢蟹まけると意志の力

前作「イラハイ」で日本ファンタジーノベル大賞受賞後初の書下ろし長編小説。日本人に欠けているものは何だ?それは言うまでもない。堅牢強固な意志の力だ。意志の力とは何だ?沢蟹まけるは蟹の子である。しかし意志の力で人間に生まれてきたのだ。分娩に立ち会った医師は、彼を英知の光を求めて旅立つ魂の持ち主であり意志を力で固めて大宇宙の偉大な力に近づく存在であるという。蟹の一族からも約束の地へ導くという期待を一身に集めるが、裏切り続けてしまう。そんな彼は、三流大学を卒業後入社した世界征服を企む株式会社マングローブの手によって、人体改造を施される。悪の手先の改造人間となったのだ。しかし彼は人間の自由のためにマングローブと戦うことにした。以上が物語としての非常に大まかな筋である。それより筋からの膨らみをこそ読むべきファンキーな作品である。どういう事かというと、同じリフレインが変形しながら繰り返し繰り返し使われている。そこから文体にリズム感が溢れ出て、読んでいて気持ちが良いということだ。帯には「小説だからってフザケるのもいい加減にしろ!」とあるが、たいへん良い加減である。「意志とは精神の実践的な態度のことであり、意志の力とは精神の実践的態度に呼応した精神あるいは肉体の運動を継続して支える精神の作用のことである」


沢蟹まけると意志の力
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佐藤 哲也
新潮社
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