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土にまなぶ
著者の考える有機とは作物づくりの技術面だけではない。自然の摂理、環境を壊さないようにして、食べ物を作り、村を作り、楽しい社会を作り上げていく。自然のサイクルの一つに過ぎない人間と、動植物との有機的関係を大切にしていくことである。東京は国立に農業科学化研究所を開き、梁山泊の様な状況で研修生を育て、「日本有機農業研究会」代表幹事をつとめる在野の有機農業研究者の半生記。ブドウの品種改良で成果をあげ、故郷山梨の牧丘町を「巨峰」の産地として日本一に育て上げた。十勝ワインの産みの親でもある。難色を示すニュージーランドからキウイフルーツの苗を初めて日本に輸入し、広く日本各地に普及させた。努力で頂点に立った人の半生記が面白くないわけがない。11の歳で戸主になり大人相手に我田引水の水掛け論をしたり、政治活動で当局に逮捕されたり。ユーモアを交えながら振り返るだけではなく、これからの農業に対するビジョンをきちんと掲げている。人間らしい生活を送るための魅力ある村、ふるさとと呼べる新しい村をつくろう。そのためにどうするか。まず都会で働いている人に週末だけ故郷に帰ってもらおう。問題提起をするだけではなくこのように具体案を打ち出し、自ら実践していく。今年80になった行動家の夢を、夢見る佇まいを読者は感じることだろう。
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