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BOOK REVIEW

義理 (一語の辞典)

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著者:源了円
定価:1,000円
 出版社:三省堂


義理

「義理の問題は、日本人の心性の構造とその歴史を理解する鍵である」とし、「中国から伝えられたもので、日本人の生活にはいって、それまでの日本人の社会生活や精神生活の中で形成された生活態度や価値観と結びつき、日本独自の展開をしたというユニークな受容の歴史をもつ…」義理ということばの歴史を通じて、新たなる「義理」研究を展開している。「義理」ということばは、礼儀行為が時宜に合致するという意味の「義」と、玉の条理から物事の条理、すじみちという意味になった「理」との複合語として中国の春秋・戦国期に成立した。日本では、平安末期あたりから「物事の道理」などの客観的合理性の意味が加わり、鎌倉後期あたりから「人として踏み行うべき道」という道義的性格が加わっていく。十五世紀後半から十六世紀末までは、変動的な社会での処世のための実践的教訓として義理の観念が発達していった。というように、社会体制、宗教、人々の価値観などによって、「義理」ということばが生き物のように変容していく様が見てとれる。関係性の上で成り立つ観念である「義理」ということばの変遷をたどることは、日本の社会、文化の変遷をたどることでもあり、時代を読むという意味でも興味深い。「人情」「道徳」などの関連観念と合わせて、身近な世間の価値体系について考えてみるのも面白い。


義理(一語の辞典)
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源 了円
三省堂
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