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日本型農業の活路
著者は元朝日新聞編集委員。この本が書かれたのは新食糧法制定の直前なので内容的に古い部分もあるが、ウルグアイ・ラウンド決着前後の事情についてわかりやすく説明されている。とくに、ドンケル事務局長の関税化合意案の内容をよく吟味することなく「一粒たりとも輸入しない」という問答無用の態度しかとることができなかった政治家や農業団体をきびしく批判し、早急にコメ関税化宣言をするべきだと提言、また、1993年のコメ不足さわぎを招いたのは政策の失敗が原因であるとして、政府の備蓄政策と減反政策の誤り、そして食管制度の改革をおこたった怠慢を指摘しているほか、地力の低下などにより異常気象に対する農業自体の抵抗力も弱まっているのではないかと述べている。さらに、農水省が1992年に策定した「新しい食料・農業・農村政策の方向」(新農政)についてその内容をくわしく検討したうえで、日本農業の国際競争力を強化するには単なる規模拡大だけでなく地域の条件にあった複合経営、集団化などの方策があるとして、新潟、香川、青森、富山、宮崎、岐阜などの農業経営者を紹介し、その可能性を探っている。企業の活力の導入、自治体の出資による農業公社の設立なども農業再生の大きな力となると述べているが、同時に農協の意識改革が不可欠であるともしている。
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