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国家と神の資本論
福祉の発達につれて「個人は無力な幼児のごとき存在となり、国家という巨大な母親の乳房に頼って生きることになる」という。たしかに今日、老後のために綿密な貯蓄計画を立てる人は減っているし、リタイアした人々や病人の生活の保障はその家族の責任と考える風は失われつつある。本書が“福祉国家が家族を破壊する”と指摘するゆえんである。著者は社会の本質はその国家ではなく、市場とそこで自ら生き抜こうとする個人・家族・企業であるとし、国家は「市場に寄生して余計な仕事をつくりだし、しかもそれを満足に遂行できない」と主張する。後半の警察、裁判所、国防の民営化などの煮え切らない試論はさておき、それぞれが“脱国家的メンタリティ”をもって「市場で生きる世界へ踏み出す」べきという訴えは傾聴に値する。
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