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BOOK REVIEW

アメリカ農家の12カ月

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著者:リチャード ローズ
翻訳:古賀林幸
定価:3,873円
 出版社:晶文社


アメリカ農家の12カ月

本著はアメリカの中央部、ミズーリ州の農家の一年間を記録したノンフィクションである。

バウアー農家はトムと妻のサリーの夫婦二人ですべてを切り盛りしている。

現在四六歳のトムが農家として独立したのは二五年前。親から相談できる土地もなく、彼らが最初に自分のものとした四〇エーカーの土地の頭金さえも借金をしなければ払えなかった。それから二〇年たった今、バウワー一家は、三三七エーカーの自作地と三人の地主から七七〇エーカーの農地を借り収穫を折半する形で地代を払う経営になった。

文字通り早朝から深夜までの労働と資金をつぎ込んできた二〇年だった。努力はむくわれ自分でも成功したと思える時期もあった。しかし、豚を飼い、大豆、トウモロコシ小麦を作る彼の年間利益は二万ドルに落ち込んできている。しかも農地価格の暴落で資産価値は半分になってしまった。農民保護政策がかえって農家の利益を損なうような結果を生み出す農政の矛盾はアメリカも同じだ。しかし、トムは経営次第で新しい未来があると信じている。

空軍に志願している高校三年の息子ブリットは、夏中作業を手伝った後に「除隊したら農業をやるかもしれない」と父に打ち明ける。そしてトムは、「いい仕事をするなら、プライドを持つべきだ。ブリットにはプライドがある」と筆者に告げる。

勇気をもって未来を開こうと思う経営者、そして農業の周辺にいる人々にこそ読まれるべきだ(K)


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