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特集

改めて『尊農開国』

藤森 均平することによって、安定した直播ができる。最初はとにかく発芽してこないので苦労しました。それは播種深がまちまちになるからです。2cmのものが3cmになるだけで全然違いますから。

桜井 我々も当時は、発芽苗立ちが40~50%あればよい方だったのですよ。今では80~90%です。

昆 昔から平らに作るということをお百姓さんは言っていた。

藤森 もともと平らにしなければならないという考えはあったのですが、そうしきれなかったのです。それができるようになったのは、機械がやっと追いついてきたからです。

桜井 うちの方も、耕うん機の後ろにトタンを縛り付け、その上に土を載せて圃場の土を運んだり、あるいは後ろに梯子を牽いて、柔らかい部分では梯子の上に人が乗って土を寄せたりしたものです。しかし、水を入れて土を寄せたものは、水とこねているので土が浮いてくるのです。だからいくら平らになったと思っても秋になってみると、何でこんなに沈んでいるんだという具合だった。毎年それをやっていたのです。平らにする努力はしていたけれども、確実な方法がなかったのです。今までは水と混ぜなければ土を運べませんでしたが、レーザー・レベラ―が出たことによって、乾いた土を移動させることができ、かつ均平にできるようになった。

藤森 今までの大区画の限界というのはそこにあったわけですね。

桜井 そうです。均平がとれなかった。

藤森 今、家族経営で20ha、30haを平気で作れるのは基盤整備のおかげです。しかし、それが営農の中でできるようになった。そういった手段を営農機械として農業経営者自身が持てる時代となってきた。そこに大きな違いがあると思います。

昆 「直播が難しいと言う人たちがいますが、必ずしも全員ができる必要はない。できる人ができればいいんだ」と研究会の時、桜井さんは発言されていましたね。直播についても「移植体系」の開発と同じような、誰もができる技術の平準化を求めているが、それは要らないんだ。それは経営者の仕事だよと発言されていますね。

桜井 はい。

藤森 その意味では、経営規模の点で、日本の農業形態は2分化していくでしょう。一方は中山間地、兼業あるいはホビーの農業。そういうところでは有機農業が追求されてもいいのでしょう。もう一方は大規模の農業、そこでは利潤を追求せざるを得ないでしょう。後者は輪作体系の中で移植、乾直、麦、大豆の4つを組み合わせてやられていくようになるのでしょう。

桜井 これからそうなるでしょうね。

昆 桜井さんのところでの直播の割合はどのくらいですか。

桜井 去年の実績で7haです。

昆 直播を入れることで拡大が可能となったということですね。

桜井 そうです。直播栽培は経営規模の3分の1位が適正でしょう。後は品種の組み合わせてで作期をずらし、色々な品種をやって作期を拡大していく。直播きの場合作業性がよいですから、大幅に面積を拡大することが可能なのです。

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