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特集

改めて『尊農開国』

選ばれる農家のための農政改革

農業評論家 土門 剛


 混迷を深めるニッポン農業。何も悲観することはない。目を凝らし、耳を澄ませば、大改革に向けてダイナミックな胎動が起きている。農業の世界も二、三年もすれば、大方の方向がつき、勝者と敗者がハッキリするだろう。


【農政大改革は既に始まっている】

農家A 大改革は始まっているんですか。

土門剛 もう始まっているよ。それも急ピッチでね。いまや農水省は昔の農水省ではないよ。すっかりとイメージチェンジだ。昨日も、屑米を商う知人の米穀商が言っていたね。その屑米商が加盟する団体が、食糧庁計画流通部長から呼ばれて懇談をしたというんだ。屑米商といえば一種のアウトロー。それが晴れの席にご招待なんだ。旧食管法時代には考えられなかったことだよ。

農家A 大潟村でも、食糧庁や県の天敵だった大潟村のあきたこまち生産者協会が開いた、無洗米施設のオープニング・パーティに寺田知事がお祝いにかけつけてきたそうですね。

土門 来賓のトップは、かっては減反強制で自主作付派の自由米を運ぶトラックの臨検を命じた秋田県知事が主賓なんだ。アレレッていう感じだな。

農家A 農水省は農業をどういう風に改革するんですか。

土門 ゴキブリ退治のホウ酸団子作戦だ。

農家A エッ、それは何ですか。

土門 団子だと思って口にしたら、中には毒が入っていたというやつだよ。真正面からの改革はできないんだ。農政族議員と農業団体の風圧が強くてね。農業団体と政治家が口にしやすいように団子にして、中身は改革を促す薬、連中にとっては毒になるのを入れてあるというやつだ。それにマーケットの風を送ってやれば、効果は早まる。そう思っているんではないかな。

農家A 具体的には。

土門 JAS法改正が分かりやすいだろう。まがい物の農産物を流通から排除する、あるいは消費者が求める有機の検査認証制度を導入するという名目なら、農政族議員も農業団体も真正面から反対はできない。それで法改正が施行されると、毒がパァーと広がり、いい農産物を作った生産者にはマーケットでまずまずの値段がつき、そうでない生産者には捨て値価格しかつかない。そうやって農家を淘汰選別していこうという仕掛けではないかな。

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