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1頁の立ち読みで不安を払拭する方法
世界経済の先行きや、東日本大震災にまつわる数々の未解決問題など、先が見通せない中で、多くの日本人が漠然とした不安を抱えている。その一番の原因は、情報や知識など「知」との付き合い方のまずさにある。上、中、下巻からなる本書は、政治学者の丸山真男による『文明論之概略』(福沢諭吉論著)を教材とした講義録であるが、1頁の立ち読みでこの問題を解決してくれるだろう。我々は思想史を学ぶ学生でも研究者でもないので、丸山真男の「まず福沢諭吉の原書を音読せよ」というまえがきの警告を無視させていただこう。
そこで、まず手始めに、原書の第6章「智徳の便」を解説する際に、「知」の構造をわかりやすく示してくれる中巻を立ち読みするのはどうだろうか(224頁)。福沢が「智恵」という場合、情報、知識、知性、叡智という4つのピラミッド構造となっており、本来、裾野が広がっている三角形をなす知の構造が、現代社会では逆三角形となっていて、歪な状況となっていると丸山は指摘している。この問題と向き合ってから原書に挑んでも、遅くはない。(芹澤比呂也)
「文明論之概略」を読む(中) (岩波新書)
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丸山 真男
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