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関 あまり水温を上げてしまうと、軟弱になったりしませんか。
野口 その通りです。品質を追求する場面と量を追求する場面を使い分けることが大事なのです。いつもよいものを作ればよいというものではありません。多少軟弱でも、クリスマスや成人式といった時には品質より量へと頭を切り替えないといけない。一本でも量を多く出荷するという時も必要です。それが経営というものだと思います。品評会の時はそれように、天窓も早く開けて、気温も低めにして硬く作る。経営を度外視すれば、品質はいくらでも自由になりますからね。
関 品種も選ばれ、培地の管理が出来て、最終的には発色をどう調整するかということになるかと思いますが、それはどのように。
野口 色合いについては、紫外線が一番の問題となります。紫外線を通すか通さないかによって、花の色は極端に違ってくるのです。私もガラス温室を1棟持っていますが、ガラスは紫外線をカットしてしまいます。赤系統はいいのですが、ピンク系統で鮮やかな色を出すときは、ガラス温室ではどうしても難しいのです。色がぼけてしまう。ビニールハウスでは、フッ素系の紫外線を通すフィルムを使っています。日射データを採っているのですが(表2)、バラの場合、天気が悪いと2ヶ月後くらいにその影響が出ると私は見ています。その時には枝を多めに倒して、若い枝を確保する。あるいは、出荷数日前の日照条件が悪い時には、ただ出すことを考えるのではなく枝を曲げてやって養生する時間を確保し、次の発芽に備えるといったこともしています。
関 ただ採ることを考えるのではなく、そういう経営的な判断が必要だということですね。
野口 そうです。その点では夏の赤バラがよい例でしょう。養液栽培をやっていると、夏場も花を採ってしまいがちです。しかし、夏の赤バラなどは5、6年前までは売れたのですが、ここ2、3年は売れなくなってきました。それは花を買うお客さんが、夏場の赤バラは保たないと分かってきたからです。
関 夏に花屋さんのショーケースを覗くと、よく赤バラ系が売れ残っている。
野口 夏には夏の花がありますし、お客さんにとっておなじ500円であれば、他の長持ちするものを買った方が得なのです。それを夏場も無理に出し続ければ、「赤バラはみなだめなもの」という悪いイメージをお客さんに植え付けてしまいかねません。夏には出荷しない方が我々のためであると思うのです。ただ採ればいいというものではなく、お客さんの立場に立って考えることが経営だと思うのです。
関 全くその通りですね。
野口 その通りです。品質を追求する場面と量を追求する場面を使い分けることが大事なのです。いつもよいものを作ればよいというものではありません。多少軟弱でも、クリスマスや成人式といった時には品質より量へと頭を切り替えないといけない。一本でも量を多く出荷するという時も必要です。それが経営というものだと思います。品評会の時はそれように、天窓も早く開けて、気温も低めにして硬く作る。経営を度外視すれば、品質はいくらでも自由になりますからね。
関 品種も選ばれ、培地の管理が出来て、最終的には発色をどう調整するかということになるかと思いますが、それはどのように。
野口 色合いについては、紫外線が一番の問題となります。紫外線を通すか通さないかによって、花の色は極端に違ってくるのです。私もガラス温室を1棟持っていますが、ガラスは紫外線をカットしてしまいます。赤系統はいいのですが、ピンク系統で鮮やかな色を出すときは、ガラス温室ではどうしても難しいのです。色がぼけてしまう。ビニールハウスでは、フッ素系の紫外線を通すフィルムを使っています。日射データを採っているのですが(表2)、バラの場合、天気が悪いと2ヶ月後くらいにその影響が出ると私は見ています。その時には枝を多めに倒して、若い枝を確保する。あるいは、出荷数日前の日照条件が悪い時には、ただ出すことを考えるのではなく枝を曲げてやって養生する時間を確保し、次の発芽に備えるといったこともしています。
関 ただ採ることを考えるのではなく、そういう経営的な判断が必要だということですね。
野口 そうです。その点では夏の赤バラがよい例でしょう。養液栽培をやっていると、夏場も花を採ってしまいがちです。しかし、夏の赤バラなどは5、6年前までは売れたのですが、ここ2、3年は売れなくなってきました。それは花を買うお客さんが、夏場の赤バラは保たないと分かってきたからです。
関 夏に花屋さんのショーケースを覗くと、よく赤バラ系が売れ残っている。
野口 夏には夏の花がありますし、お客さんにとっておなじ500円であれば、他の長持ちするものを買った方が得なのです。それを夏場も無理に出し続ければ、「赤バラはみなだめなもの」という悪いイメージをお客さんに植え付けてしまいかねません。夏には出荷しない方が我々のためであると思うのです。ただ採ればいいというものではなく、お客さんの立場に立って考えることが経営だと思うのです。
関 全くその通りですね。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
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