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「税務署も随分と変わりましたね」
確定申告が始まった2月16日、例年のようにいち早く申告を済ませてきた女房が、家に着くなり、いきなりこんなことを言い出した。
「どう変わったんだ」
申告のことはいっさい女房任せの筆者が、こうたずねると、
「2年前までは、机に向かい合った税務署員らが懇切丁寧に記入をサポートしてくれましたけど、今年は税務署員はじっと見守っているだけでしたよ。納税者になるべく記入させ、どうしても分からない点のみを教えましょう。そんな感じでしたね」
という答えだ。
それまでの申告風景は、家庭教師と生徒のように机を間にはさんで税務署員と納税者がマン・ツー・マンで向き合い、税務署員が家庭教師よろしく記入指導をしていたというのだ。申告書の作成も満足にできぬ納税者には、領収書など持参すれば代理記帳のサービスがあったりもした。
そんなサービスがなくなった。詳しく聞けば昨年からだという。マン・ツー・マンから、大学のゼミナール形式に変わったというのだ。長い事務机を「コ」の字型に配置して、10人から20人の納税者を座らせ、その中央に陣取る税務署員が納税者の記入を見守るようになった。見ようによれば、宿題のできぬ生徒が、教室の中でおっかない先生から居残り授業を受けているみたいだ。というよりも居残り特訓に近い。
「税務署員に聞く時にも、どこがどう分からないのかを順序だって聞かないと答えてくれないのよ」
確定申告が始まった2月16日、例年のようにいち早く申告を済ませてきた女房が、家に着くなり、いきなりこんなことを言い出した。
「どう変わったんだ」
申告のことはいっさい女房任せの筆者が、こうたずねると、
「2年前までは、机に向かい合った税務署員らが懇切丁寧に記入をサポートしてくれましたけど、今年は税務署員はじっと見守っているだけでしたよ。納税者になるべく記入させ、どうしても分からない点のみを教えましょう。そんな感じでしたね」
という答えだ。
それまでの申告風景は、家庭教師と生徒のように机を間にはさんで税務署員と納税者がマン・ツー・マンで向き合い、税務署員が家庭教師よろしく記入指導をしていたというのだ。申告書の作成も満足にできぬ納税者には、領収書など持参すれば代理記帳のサービスがあったりもした。
そんなサービスがなくなった。詳しく聞けば昨年からだという。マン・ツー・マンから、大学のゼミナール形式に変わったというのだ。長い事務机を「コ」の字型に配置して、10人から20人の納税者を座らせ、その中央に陣取る税務署員が納税者の記入を見守るようになった。見ようによれば、宿題のできぬ生徒が、教室の中でおっかない先生から居残り授業を受けているみたいだ。というよりも居残り特訓に近い。
「税務署員に聞く時にも、どこがどう分からないのかを順序だって聞かないと答えてくれないのよ」
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門剛の「なんで?どうなる!」ニッポン経済
「あろうはずもない」と人々が信じ込んできたことが次々に起き始めている。まさに、風雲急を告げる日本経済そして農業界である。土門剛は「農協が倒産する日」他の多数の著書や本誌記事において、早くから農協・金融業界の破綻を予見し、その政・官界とのかかわりを指摘してきた。本誌ではこれから不可避的に発生する様々な事件とのそれに伴う混乱を乗切るために、日本経済の動向から農協問題そして農業経営について、読者の疑問に答える。
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