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まさに「窮すれば通ず」である。懸命であれば次々押し寄せる問題も克服できるものである。トレンチャと違って下層土と表層土が充分に混和されないので、土壌改良面での不満は残るが、埋め戻す際に工夫すれば結構混和するので、大きな問題とはならないであろう。
パワーショベルの農業利用、これも時代の流れである。かつて畜力時代に、家一軒を建設する程高価であったトラクタを導入するに当っては、畜力を超える能力が欲しくて踏み切ったものである。結局、そのことによって著しく生産性を向上させ、新しい農業時代を築きあげた。
現在はホイールトラクタの全盛期である。とすると、ホイールトラクタの能力を超えるものが欲しくなってくる。ゴムクローラトラクタが進出してきたのは、そうした時代背景があると考えて差し支えない。ホイールトラクタがなくなるとは思えないので、ホイールトラクタ+αの時代と言えるであろう。
パワーショベルもホイールトラクタの能力を超えるものとして、これからますます農業部門に活躍すると思える。その名の通り、掘削することについては凄い能力である。そればかりではない。バケットをマニュア用に、あるいはマニュアグラッパに変えると、堆厩肥の造成に大きな働きをする。
パワーショベルによる堆厩肥の造成が何故優れているかと言えば、第一にあまり地面を移動しないで切返し作業や積込み作業ができることである。地面を踏み固めないので、堆肥盤の排水性が悪化することはない。
堆厩肥を造成する上で、これは一つの決め手になるポイントである。ホイールトラクタのフロントローダ、あるいはホイールローダなどは堆厩肥を切返し、積込むことはできる。しかし、何回も堆肥盤を往復することで、排水性に優れた粗粒火山灰を堆肥盤に敷き詰め、造成したとしても、数年で堆肥盤に目詰りを起こし、降水があれば水浸しになってしまうのである。
水浸しになれば発酵は遅れるばかりでなく、これを積み出して圃場に散布しようにも、作業機が堆肥盤に入っていけないのが実態である。水浸しの中での作業では、無理な作業が強いられて低能率作業を余儀なくされる。そればかりではない。泥濘化した中での作業はますます排水性を悪化させてしまう。
イタリア北部の農業地帯を訪問した時のことである。堆厩肥の造成にパワーショベルが活躍していた。小さな農家はホイールトラクタ用けん引型のパワーショベルを使っていた。長所を聞くと、切返し時に上下の混和が充分にできること、孔隙を多くする切返しができて発酵が進展することなどをあげていた。
パワーショベルの農業利用、これも時代の流れである。かつて畜力時代に、家一軒を建設する程高価であったトラクタを導入するに当っては、畜力を超える能力が欲しくて踏み切ったものである。結局、そのことによって著しく生産性を向上させ、新しい農業時代を築きあげた。
現在はホイールトラクタの全盛期である。とすると、ホイールトラクタの能力を超えるものが欲しくなってくる。ゴムクローラトラクタが進出してきたのは、そうした時代背景があると考えて差し支えない。ホイールトラクタがなくなるとは思えないので、ホイールトラクタ+αの時代と言えるであろう。
パワーショベルもホイールトラクタの能力を超えるものとして、これからますます農業部門に活躍すると思える。その名の通り、掘削することについては凄い能力である。そればかりではない。バケットをマニュア用に、あるいはマニュアグラッパに変えると、堆厩肥の造成に大きな働きをする。
パワーショベルによる堆厩肥の造成が何故優れているかと言えば、第一にあまり地面を移動しないで切返し作業や積込み作業ができることである。地面を踏み固めないので、堆肥盤の排水性が悪化することはない。
堆厩肥を造成する上で、これは一つの決め手になるポイントである。ホイールトラクタのフロントローダ、あるいはホイールローダなどは堆厩肥を切返し、積込むことはできる。しかし、何回も堆肥盤を往復することで、排水性に優れた粗粒火山灰を堆肥盤に敷き詰め、造成したとしても、数年で堆肥盤に目詰りを起こし、降水があれば水浸しになってしまうのである。
水浸しになれば発酵は遅れるばかりでなく、これを積み出して圃場に散布しようにも、作業機が堆肥盤に入っていけないのが実態である。水浸しの中での作業では、無理な作業が強いられて低能率作業を余儀なくされる。そればかりではない。泥濘化した中での作業はますます排水性を悪化させてしまう。
イタリア北部の農業地帯を訪問した時のことである。堆厩肥の造成にパワーショベルが活躍していた。小さな農家はホイールトラクタ用けん引型のパワーショベルを使っていた。長所を聞くと、切返し時に上下の混和が充分にできること、孔隙を多くする切返しができて発酵が進展することなどをあげていた。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
村井信仁の作物別・畑作野菜経営機械化講座
北海道での畑作野菜経営成立の背景には、農業機械化による生産技術の革新があった。その機械化が、大規模な野菜栽培を農業の原理原則に従う技術集約へと向かわせる可能性を与えた。そこで、北海道農業機械化の中心的な指導者として、開発と普及の両面からその役割を果してきた村井信仁氏に、畑作野菜の機械化経営技術をご解説いただく。その解説は、これから府県での畑作野菜経営を発展させようと考えている経営者にとって多くの示唆を与えるだろう。一方、北海道の経営者にとっては、農業経営の原理原則に立ち返った技術の再確認と新たな可能性を示すことになるはずだ。(編集部)
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