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【女だからの経営論】
牛飼いから専務へ
- 三好かやの
- 第39回 2000年05月01日
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牛飼いから専務へ
佐賀県江北町、ショッピングセンターが建ち並ぶ国道沿いに、大型書店「積文館」がある。だだっ広い駐車場の片隅に建つ小さなログハウス。これがソフトクリームとクレープの店「カウベル」だ。経営母体は隣の鹿島市で酪農を営む(有)和光牧場。絞りたての牛乳で作った生地が毎日運び込まれ、お客さんに提供される。
「ひとつ食べてみてください」
と、専務の樋口静子さん(47歳)。
「それじゃ遠慮なく」
と、樋口さんの次女で、この店の店長を務めるあゆみさん(21歳)の差し出すソフトクリームをペロリ。甘味が少なくあっさりした味。立て続けにもう一つ食べられそうだ。
「クレープもどうぞ」
「いや、ちょっと苦手で…」
甘い物は嫌いじゃないが、クレープは高校時代以来食べていない。あのむせ返るような甘さは、とてもいい年をした大人が食べるもんじゃないと思っていた。
「うちのクレープはおじいちゃん、おばあちゃんも食べられますよ」
そういえば、このお店には原宿の街角に漂うような甘ったるい匂いがない。
「香料は使っていないし、生地は牛乳と卵だけですから」
「どれどれ」
ソフトクリームを1個平らげたばかりだというのに、私ときたらクレープも食べてしまった。あっさりしたクリームとしっとりした生地の組み合わせが心地よくて、無理なく食べられるのである。カウベルの商品がおいしいのはわかった。
私が訪れた江北店は、97年6月にオープンした和光牧場の直営店。その後、ソフトの美味しさが評判となり、「うちでもぜひカウベルのソフトクリームをやりたい」という人が次々と現れた。スタートから3年足らずで、姉妹店は10店を数える。
「あれよあれよという間に、牛飼いさんから専務へ。激動の3年間でした」
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