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女だからの経営論

牛飼いから専務へ

「これまでは各店舗の方と商品売買という形でしか繋がりが持てませんでしたが、これからは共にカウベルを育てていけるパートナー契約の段階にレベルアップしていきたい。まだまだ各店舗の統一がとれていない状態なので、品質管理や接客態度等、クリアしなければならないことはいっぱいです」

 たしかに。店舗が増えれば増えるほど、品質管理が難しくなってくる。1店でもレベルが落ちれば、それはチェーン全体の存亡を左右しかねない。創業者の「熱い想い」をいかにして、姉妹店の人たちに伝えていくか。それが大きな課題である。

 江北店で店長を務めるあゆみさんは、この夏フランスへ旅立ちワーキングホリデーを活用して、お菓子の勉強に専念。後の牧場経営に生かしたいと考える。さらに長男靖晃さん(18歳)は、「牛のお医者さんになってお父さんと一緒に牛を飼う」という小学生の頃からの夢を実現すべく、この春北海道の酪農学園大学獣医学部に進学した。なんとも頼もしい3兄弟である。

――いつか全国展開が実現した暁には、お店、工房、社長室…静子さんは、一体どこで働いているんでしょうね?

「私? お父さんとずっと牛舎で働いていたい。25年間ずっとそうだったもの」

 山間の小さな牛舎でひっそりと暖め続けていた夢が、一気に花開いた。原料の牛乳から商品開発、さらに加工販売を手がける、農家主導のフランチャイズチェーンが、誕生しつつある。


樋口静子さん(佐賀県・鹿島市)

ひぐち・しずこ 1953年、佐賀県鹿島市生まれ。精肉店を営む商家に生まれる。75年、正光さんと結婚。肉牛の繁殖から酪農へ転換。マイナスイオン水を使った電子イオン畜産法を取り入れ、乳質の向上に努める。89年牛糞堆肥「ドラゴン」の製造販売を開始。96年自社の原乳を使ったアイスクリームの製造に着手。97年6月杵島群江北町にソフトクリームとクレープの店「カウベル」をオープン。後味さっぱりのおいしさが評判となり多店化を開始。現在、姉妹店は、佐賀、長崎、福岡などに10店舗を数える。

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