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【農業経営者ルポ「この人この経営」】
斬新な着眼点で地場産業の姿を創る
- 編集部
- 第12回 2000年06月01日
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地場産業としての落花生生産加工・流通分野からの参入
高浦さんはもともとは農家の出身ではなかった。家業は収穫された落花生を仕入れ、加工して販売するものであった。父親の代から千葉県の地で、生産者から収穫した落花生を買い上げ、それを加工し、販売していた。
「でもよ、落花生の生産者が減っていってしまうんだ。だから、俺が作るようになったんだよ」と高浦さんは満面の笑みを浮かべながら語る。
千葉県は日本一の落花生の産地だ。しかし、落花生は連作障害になりやすく、作業、特に収穫作業に手間がかかる。そのため、落花生の生産者の数はじわじわと右肩下がりに減ってきている。
静岡でお茶の加工の「修行」を終えて千葉に帰ってきた。職人のワザを身につけたくて高校を3日で中退して、出かけた修行だった。
家業を継ぐ形で、落花生の加工・販売に本腰を入れていた当時、東京や千葉のデパートで開かれる物産展などに積極的に参加して、自分で加工した落花生を売り込んだ。
落花生も鞘つき、煎ったものだけではない。菓子製造業の営業許可も取り、果実のエキスとゼリーで「樹熟」という和菓子の類も自分のところで開発して、それも売り込んでみた。それはそれなりに評判が良かった。
しかし、結局固定客として定着してくれたのは、落花生を買いに来てくれる地元の、地場のお客さんだった。自分の本業は落花生だということに気付いた。「高浦さんの落花生を買いに来たんだよ」と店頭まで足を運んでくれるお客が有り難かった。
しかし、肝心の原料である落花生の生産が減っていく。豊凶作の差も激しく、価格も上がっていく。豆自体の品質もなかなか思い通りのものが集まりにくくなってくる。20年近く昔の話である。
「でも、輸入したピーナッツの原料を袋に詰めて、千葉県産の落花生だなんて売るのは、俺にはお客さんに申し訳なくて出来なかった」 そのころから自分の目の届くところで商品を作りたいと考えはじめていた。
上手く生産する農家はどうやって落花生を作っているのだろう? 上手く獲れなかった年は何が悪かったのだろう? そんな目で落花生を買い付けに回る農家の軒先で、色々とその秘訣を聞いて回った。
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