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【土門レポート2000農と食産業の“時々刻々”】
経営構造対策事業を検証する
- 土門剛
- 第2回 2000年06月01日
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農水省が、農業補助金制度にメスを入れたことはご存知だろうか。従来の構造改善事業が、名称も「経営構造対策事業」と変え大幅にイメチェンしたのだ。目玉は、不明朗、非効率、農協独占と悪評さくさくだったのを、採択基準を厳しくしたり、ガラス張りにしたことだ。
キャリアまで逮捕されてしまった構造改善局汚職。原因は、課長補佐クラスの班長が、補助金の箇所付けや採択で実権を握っていて、そこを業者やら農協につけ込まれて汚職事件にまで発展してしまったのだ。
それを反省してか、経営構造対策事業は採択基準をガラス張りにした。新たな新規採択基準は、約30ものチェック項目を設け、従来の農業補助金制度と違い、採択基準に達成すべき「目標」を全国、地方レベルで掲げたことだ。省内外の有力者が発する天の声で、補助金の恣意的な運用をやめようという狙いが込められている。
ただ「地区内の農業者・関係者の総意」という新たな要件を加えてきた。見ようによれば、地域の総意、つまり一人でも反対があれば、補助金は採択されないということになる。本誌読者のように前向きに農業に取り組み、地域の農家より一歩も二歩も先に走っている専業農業者には厳しい要件となるかもしれない。
構造改善事業課の課長氏は、古くからの顔なじみである。仕事熱心と人柄の良さで、昨年の汚職騒動の最中に抜擢された。「農業補助金でとくご批判を受けたことは重々承知しております。その反省に立って補助事業をすべて洗い直しました。あのような事件が今後起きないようにすることはむろんのこと、税金を農業振興のため有効に使ってもらえるように、補助事業の仕組みをガラス張りにしました。辛口の土門さんにも評価してもらえると自信を持っております」
といって差し出した資料は厚さにして数センチ。この連休にざっと目を通してみた。出来栄えは合格点スレスレの60点、課長氏の意欲と真面目さを5点分加味して65点。こう伝えたら、「合格点といってくれたのは有り難いですが、もっと高く評価してもらえるはずですよ」とコメントしてこられた。
そこで経営構造対策事業を逐条的にチェックして問題点を指摘しておきたい。
キャリアまで逮捕されてしまった構造改善局汚職。原因は、課長補佐クラスの班長が、補助金の箇所付けや採択で実権を握っていて、そこを業者やら農協につけ込まれて汚職事件にまで発展してしまったのだ。
それを反省してか、経営構造対策事業は採択基準をガラス張りにした。新たな新規採択基準は、約30ものチェック項目を設け、従来の農業補助金制度と違い、採択基準に達成すべき「目標」を全国、地方レベルで掲げたことだ。省内外の有力者が発する天の声で、補助金の恣意的な運用をやめようという狙いが込められている。
ただ「地区内の農業者・関係者の総意」という新たな要件を加えてきた。見ようによれば、地域の総意、つまり一人でも反対があれば、補助金は採択されないということになる。本誌読者のように前向きに農業に取り組み、地域の農家より一歩も二歩も先に走っている専業農業者には厳しい要件となるかもしれない。
構造改善事業課の課長氏は、古くからの顔なじみである。仕事熱心と人柄の良さで、昨年の汚職騒動の最中に抜擢された。「農業補助金でとくご批判を受けたことは重々承知しております。その反省に立って補助事業をすべて洗い直しました。あのような事件が今後起きないようにすることはむろんのこと、税金を農業振興のため有効に使ってもらえるように、補助事業の仕組みをガラス張りにしました。辛口の土門さんにも評価してもらえると自信を持っております」
といって差し出した資料は厚さにして数センチ。この連休にざっと目を通してみた。出来栄えは合格点スレスレの60点、課長氏の意欲と真面目さを5点分加味して65点。こう伝えたら、「合格点といってくれたのは有り難いですが、もっと高く評価してもらえるはずですよ」とコメントしてこられた。
そこで経営構造対策事業を逐条的にチェックして問題点を指摘しておきたい。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門レポート 農と食産業の“時々刻々”
新しい歴史が始まる。夜明けを前に、すでに万全の身支度を済ませている者、覚悟の朝に今跳ね起きようとしている者、目を覚ましながらも名残惜し気に布団の温もりから脱することのできぬ者、そして、いまだ惰眠をむさぼり続ける者。改めるに遅いということは無い。さあ起きだそう。奮い立とう。 わが国の産業と農業そして日本人が、避けられぬ選択としてグローバルスタンダードを認めつつも、誇りある地位を保ち続けるために、土門剛氏に既に決せられた改革の方向性の中で、2001年に向けた“時々刻々”の展開をレポートしていただく。
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