記事閲覧
災害から考える森林の本質的な存在意義
先日、東日本大震災で津波被害を受けた地域の上空からの映像を見る機会があった。時間経過して冷静になったためか、以前気づかなかった点に目がいく。荒涼とした風景の中に森林が点々と残っているのだ。そこでこの本を思い出した。
本書では樹木の生物としての特徴のほか、阪神・淡路大震災などを例に社会インフラとしての役割が書かれている。森が倒壊する建物を支え、火を遮り、人の逃げ道を作る。津波を遮り、引き波を抑える。誤解されがちだが、森とは高低様々な植物が存在する多層構造を持ち、その地域に本来生息する樹木が占有する場所である。たとえば本州の平地では照葉常緑樹のシイ、カシ、タブノキを中心とした森があるべき姿だ。単一の針葉樹や外来樹を植樹した場所は見栄えはいいが、防災効果は期待できない。実際、大津波で根が浅い針葉樹の防潮林は流亡したが、鎮守の森や商業施設を囲む森は残っている。
震災は様々な事象を見直す教訓になった。森の役割のように市民が等身大で感じてできる対策を忘れてはいけないと考えさせられた。(橋本哲弥)
会員の方はここからログイン
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)