ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

BOOK REVIEW

困ってるひと

    • 無料会員
    • ゴールド
    • 雑誌購読
    • プラチナ

著者:大野更紗
定価:1,470円(税込)
 出版社:ポプラ社


困っているけど、可哀相ではない

原因不明の難病を発症した大学院生女子の闘病記、というと、よくある難病物かと思われるかもしれない。震災以降、たいへんだけど希望を失わずに明るく前向きにがんばっています、といった人生への応援歌みたいなものが巷にあふれている。それが悪いとはいわないが、正直どこか欺瞞を感じてしまう。本作はそんな人にこそ読んでもらいたい。

今日ほど弱者の側に立つことの正当性が疑われない時代はない。弱者=可哀相である=なんとかしろ、という構図が政治であれなんであれ強権をふるっている。しかし、この本を読むと、困ってるからといって弱者ではないし可哀相というわけでもないのだ、というスタンスもありうることがよくわかる。むしろ弱者の問題は、弱者を利用して権力を得るという構図が蔓延していることではないか。そんなことをいうと小難しい内容が書かれてるのかと思われるかもしれないが、表紙を見ればわかるようにそんなことはない。こんなに面白くて、泣かされて、現代社会の病弊について考えさせられる闘病記は初めてだった。(田中真知)


困ってるひと
posted with amazlet at 12.02.02
大野 更紗
ポプラ社
売り上げランキング: 652

関連記事

powered by weblio