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【農業経営者ルポ「この人この経営」】
ちゃんとした土づくりで、世間に通用する経営
- 牧瀬和彦
- 第13回 2000年07月01日
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とにかく『土づくり』をしていました
鳥取駅から約10キロ、山間の川沿いの郡家町。約2,500世帯、農家戸数約1,500戸、専業農家約100戸。田中農場は、ほとんどを借地で水田稲作を行っている。しかも、兼業化率が高いこの町の水田面積の約10%を田中農場が活用している。
1976年から借地をはじめ、1982年には水田借地13haとなり、本格的な稲作経営をはじめた。しかし当時は高米価維持と引き替えに転作という名の減反をしなければならず、稲作経営としては厳しい時代でもあった。
構造改善事業による圃場の再整備も進む。しかし整備した直後の水田ではまともな稲作は出来ない。しかも減反もある。
田中さん達は、それでも水田を借り、自ら進んで転作を行った。
「米価はこのまま上がり続けるはずはない」「いつか頭打ちになるし、下落するだろう」その時までは、とにかく「土づくり」をしっかり行う。いずれ米価が下がる時がチャンスだと、圃場整備後の水田で、転作作物の麦や大豆を作りながら、堅くなった水田をほぐし、石礫を取り、排水を良くし、堆肥を入れることを行ってきた。
田中さんの努力もあって、郡家町の減反達成率は100%を大きく上回った。しかし、麦も大豆もしっかり獲れることはない。
「よく言われましたよ『獲れもしない麦を何故植えるのだ?』と。本気で「共済金目当てじゃないのか?」と言われたこともありました」「しかし私は『獲れないからと言って、植えなければいつまでも獲れるようにはならないだろ?』と目の前の増収技術には走らず、土づくりを主眼にやっていました」と田中さんは笑う。田中農場は、今でも町内の畜産農家からの堆肥は全量引き取って堆肥として圃場に入れている。
通用するものは必要とされる
「コメ作りは無くなりはしませんよ。だからちゃんとしたコメを作らないとならないのです」
今までの惰性で稲作をするのではなく、ちゃんとコメの将来展望を見据えた上で、コメ作りをはじめた。
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