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【農業経営者ルポ「この人この経営」】
自己責任で楽しみを共感できる農業経営
- 編集部
- 第14回 2000年08月01日
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●提携米
黒瀬農舎は、黒瀬さん自身を含め13戸の生産者のあきたこまちを取り扱っている。生産者からの籾を保管、精米し、全国に広がる消費者に宅配で販売している。
販売先の大多数は宅配による一般家庭だ。全国の約2,000~2,500軒に年間購入予定に基づき、5キロパックで玄米や白米を送っている。
直接家庭に送らないで、生協のような消費者購入組織への販売もあるが、それも5キロパックでは、全販売量の2~3割を占めるに過ぎない。
コメは、すべて「あきたこまち」。低農薬、低化学肥料栽培である。
取り扱い量は年間約9,000俵。売り上げは3~3.2億円になる。
グループ内で「生産マニュアル」を設定し、有機質肥料を共同購入している。栽培に対しては「出来る限り農薬や化学肥料を排除したい」という姿勢を貫き、この姿勢を理解できない生産者のコメは取り扱わない。
有機栽培のJAS表示や、行政による認定制度が取り上げられることが多くなってきている。しかし、黒瀬さんは「有機栽培・認定」には批判的だ。
「低農薬や無農薬だから、高く売ろうという考え方は間違っている」消費者の健康や財産を侵すものではない限り、国が品質を認定するというのは筋が違うというのだ。
栽培法を偽って販売するのは当然いけない。しかし、どのような栽培方法で、どのような品質のコメを買うかどうかは、消費者本人が選択するべきものであって「国のお墨付き」に頼ってしまったり、それに乗じて高く売れるからお墨付きをもらおう、付加価値として売らんかなという生産者の思考回路は、自己責任と自立性を放棄する「怠慢」に他ならないと言うのだ。
買う価値があると思うものを消費者の責任で選んでもらう。もしそれが期待外れなら次からは買わなければすむ。生産者は自分の責任において「安心できる」と思うコメを作り、売る。それが売れないようであるなら、それも生産者の責任なのである。
「権力の認定」に頼ると言うこと自体、選択の自由を放棄した「非社会的」な行為だという。
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