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植物の力 その神話と科学

植物の潜在能力を再構築せよ!

本場古川のササニシキとSAR


 SARの威力をこの目で確かめるために、バイオンを実際に使用している生産者、宮城県古川市の営農生産組織、中沖グリーンファームの佐々木一郎さんを訪ねた。

 グリーンファームは、平成6年に中沖集落で11の農家が集まり、企業的経営に基づく生産性の高い農業経営を目標に組織された。経営規模は、水稲27ヘクタール、転作大豆10ヘクタール及び水稲作業受託が1ヘクタールである。米の品種は、ササニシキ、ひとめぼれ、まなむすめだ。一昨年に試験的に使いはじめてから、今年の田植えで3度目のバイオンの使用となるそうだ。

――バイオンを使われた理由は。

「農薬の耐性菌の問題、そして人体・環境への影響の問題を長期的に考えると、できるだけ使わない方が良い。農薬メーカーにはその問題を考慮した上で、さらに効果のある剤を作ってくれとお願いしていましたが、農薬を使わなくても済むような新しい剤は自ら開発することはないだろうと思っていました。バイオンはそのまさかで、植物の抵抗性を高めてやることで病気にかかりにくくするモノです。私は防除のための農薬というより、農材と見なしています。これほど将来性の高いモノはないのでは。」

――実際に使われてみての感想は。

「今までは春の防除と秋の防除のため2種類の剤を使っていました。2段構えの防除です。バイオンの場合は、移植当日の箱処理だけ。秋の防除は、初めて使った年は念のためやったけど、2年目の昨年はやらなかった。まったく他の農薬を使わなかったんです。1段構えなのに、2段構えと同じ、いやそれ以上の結果がでました。」

――具体的には。

「以前使っていた春・秋の防除用の農薬は、確かにいもち病には効果がありましたが、イナコウジ病とかモンガレ病には効きませんでした。もちろん説明書に効くとは書いていないのでその通りなんですけど。かと言って、その対策だけに別の農薬を使ってしまいたくない。バイオンの場合、完璧ではないが必要な程度イナコウジ病やモンガレ病にも耐性する力を与えてくれる。これは大きな利点です。大切なのは、完全に病害を排除することではなく、期待する収量と消費者に喜ばれる食味を実現することですから。」

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