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BOOK REVIEW

絶望名人カフカの人生論

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絶望名人カフカの人生論

著者:フランツ・カフカ
定価:1,500円(税込)
 出版社:飛鳥新社



欺瞞の希望より、本物の絶望を

暗い世相とは裏腹に世の中にはポジティブな言葉が溢れている。「死ぬ気になれば何でもできる」「願えば叶う」等々ビジネス本といい流行歌といい、そんな言葉のオンパレードだ。

悪いとはいわないが、こんな言葉ばかり聞かされていると逆に空しくなる。そんな人に、ぜひこの本を薦めたい。

ここには『変身』で知られる偉大な作家カフカの名言が集められている。偉人の名言とはたいていポジティブだが、これはちがう。カフカは生涯を通じてネガティブな愚痴を吐きつづけた。あらゆるものに絶望し、すぐ弱音を吐く。「将来に向かって歩くことは僕にはできない。将来に向かってつまづくことならできる。一番うまくできるのは倒れたままでいることだ」

これは一例だが、その徹底した絶望ぶりはときに滑稽なほどで、笑いすらこみ上げてくる。絶望をつきつめると逆に気持ちがゆるんで、生きる力が湧いてくることに気づかされた。

やっぱりカフカは偉大だ。(田中真知)



絶望名人カフカの人生論
絶望名人カフカの人生論
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フランツ・カフカ
飛鳥新社
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