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女だからの経営論

研究主任はクレーム隊長

福島県大玉村にある國分農場(有)の堆肥プラントを訪れた。奥の牛舎では牛たちが静かにエサを食み、手前の堆肥場では、攪拌機が堆肥を混ぜ込みながら少しずつ動いていた。そこへ一台のトラックがやってきた。荷台に積まれたポリバケツから、次々と生ゴミが投げ込まれる。
研究主任はクレーム隊長


 福島県大玉村にある國分農場(有)の堆肥プラントを訪れた。奥の牛舎では牛たちが静かにエサを食み、手前の堆肥場では、攪拌機が堆肥を混ぜ込みながら少しずつ動いていた。

 そこへ一台のトラックがやってきた。荷台に積まれたポリバケツから、次々と生ゴミが投げ込まれる。近くのオートキャンプ場「フォレストパーク」から出たものだ。スイカの皮、メロン、食べ残したご飯やそうめん…。キャンプ場で夏休みを過ごした人たちの置き土産らしい。

「残飯は出てから1日以内の野菜のもの。いい堆肥を作るには、新鮮な生ゴミが必要なんです」

 と、研究主任の國分俊江さん(26歳)。送り込まれたゴミを見る眼差しは真剣だ。元々牛糞を主原料に堆肥を作っていた國分農場に、生ゴミが持ちこまれるようになったのは、今から3年前のこと。問題は、生ゴミの鮮度と水分、そして何より「分別の徹底」である。

 「金属のスプーンやフォーク、ビニールのしょう油袋…一度入れ歯が入ってたこともありました」

 こうした分解しきれない素材を取り除くのは、農場段階では至難の技だ。生ゴミの「製造元」である温泉宿やキャンプ場に、分別の徹底を促すのも「研究主任」の役目である。

 「一度わかってもらったつもりでも、しばらくするとまたゴミが入ってきて『うわぁ!』最初の年は、その連続でした。分別の指導が徹底していない。今はかなりよくなってきましたけど、なかなか完璧というわけには…」

 と、まるで「クレーム隊長」のよう。温泉組合と農場の間で板ばさみ。若いのに大変だなあと思ってしまった。

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