記事閲覧
【今年の市場相場を読む】
洋菜は“ハイカラ”から健康へ セロリ・アスパラガス・サラダナ・パセリ
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第51回 2000年09月01日
- この記事をPDFで読む
セロリ 生食から炒め用野菜として既成概念の打破で需要発掘
【概況】
東京市場でのセロリは年間約1万2千t前後、過去の推移を見てもほぼ年間需要量は変わらず、ある意味では安定した品目である。数量的に見ると、長ナス・生シイタケ・ナガイモ・エノキダケとほぼ同様の地位にある。一般の感覚からいえば意外に数量の多い品目であり、それだけ業務用では重要品目ということになる。需要は年間通じて月間千t前後のものが必要なのだが、生産・出荷動向をみると、3月、4月の静岡・関東産地からの出荷ピークが“シュン”を形成しており、6月から10月までは長野産の独壇場、という役割分担で推移している。業務用のウエイトが高い品目だけに、輸入品も国産を補完しているが、単純に数量調整的な輸入であり、東京市場では1.5%程度のシェアにとどまっている。
【背景】
年間供給は、静岡と長野といういずれも洋菜の大型産地によって賄われているが、関東では千葉・茨城が、遠隔地では香川や福岡、さらに東北・北海道でも中小産地は点在する。夏場に供給が減るが、それでも際立って単価が高いわけではなく、総じて安定した品目という感が強い。業務用需要が強い割には、乱高下が少ないのは個数で利用するものではなく、調理で調整が可能な補助的な食材であるからだろう。単価が安い輸入品があまり増えないのも、需要が限定され上限に達しているという状況のためだ。
【今後の対応】
セロリといえば、どうしてもサラダの材料的なイメージが強いのだが、業務用需要では、むしろ中華料理としての需要の方がウエイトが高い。それにもかかわらず、小売店では、とりわけメニュー提案もないために、大方はサラダ需要に限定されるようだ。これは大いにもったいない話で、中華料理ではとくに牛肉や魚介類との炒め物で相性がいいことをもっとPRすべきだし、和食系ではヌカ漬けや浅漬けでほのかな香りがポイントを稼ぐはずである。とくに、最近流行りの“浅漬けの素”を利用して他の野菜とともに即席漬けにすれば、和食でもカレーなどの付け合わせでも美味しく、いくらでも食べられる。このセロリこそ、洋菜=サラダという“公式”をいい意味で逸脱させて、需要を広げる工夫がほしい。繊維質を始め、機能性に富んだ品目でもあるのだし。
会員の方はここからログイン
小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)