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「農」と「食」の未来を創る円卓会議(後編) 目線の揃う人で儲ける手前の話をしよう

「食べる人のためにPart2」と題された今年の「土を考える会」。昨年開かれたパネルディスカッション「農・商出会いのフォーラム」の精神を受け継ぐと同時に更に深化させ、今年のディスカッション「“農”と“食”の未来を創る『円卓会議』――目線の揃う人々で儲ける手前の話をしよう」が土の館併設会場で行われた。二重の楕円形に配置された「円卓」を囲み、生産者、機械・農薬・肥料の関係企業、仲卸、外食、小売、産業廃棄物業者他様々な“食”に関わる業界人たちが、今最もホットな話題である、 (1)JAS改正について (2)適正価格は誰が決めるのか? (3)循環型流通は実現可能か?の三点について熱論を交わした。司会は、本誌でお馴染みの三輪宏子氏。パネラーは、生産者代表として村上農園の村上政則氏、仲卸代表として(株)ジャパンフレッシュセンターの林直司氏、外食代表として(株)ジョナサンの佐藤光敏氏、廃棄物業者代表として宝資源(株)の高橋賢三氏の四氏。勿論、パネラー以外の人たちも、それぞれの立場から活発に発言し、まさに「円卓会議」となっている。今回は前号に引き続き、「適正価格は誰が決めるのか」「循環型流通は実現可能か」の二つのテーマについての議論を掲載する。(編集部)
誰にとっての「適正」価格なのか?


三輪宏子(司会):それでは二番目の価格についての問題に移らせて頂きます。「食べる人」の一人として、季節によって変ったり、逆に変わらなかったりと、どう値段の設定がなされているのだろうとスーパーへ行く度に思います。また、最近は産直、いわゆる市場外流通が非常に盛んに行われています。単純に考えると、産直は市場も仲卸も通さないのだから安くなるはずなのですが、実際には消費者の手に渡った時にどうなのかということについても触れていきたいと思います。まず林さん。

林直司(仲卸代表、(株)ジャパンフレッシュセンター):青果物の流通の流れは、バブルがはじけるまでは生産基点型流通でした。それが不景気になり、現在は消費基点型流通になっています。つまり、消費者が買って初めてお金になるということがその前提になります。例えば、生産者の方から、原価はこんなに安いのにこのキャベツはなぜ98円で売っているのだろうか、もっと安く58円で売ってもいいじゃないか、なぜ儲けているのかと疑問の声が上がることがあります。これについては、ものの流れの中で「値ごろ感」というものがあることを理解していただきたいと思うのです。98円がいわゆる消費者が買ってくれる一番の基準。これを100とすれば、78円から98円が大体100の線です。ところが58円となると逆に売れ行きは減少してしまいます。また、産直でメリットが出るかどうかという問題は、現在、規格の中でしかお店では売られていないので、規格外のものをどうするのかまで踏まえて考えなければ、産直は成り立たないのではないかと思います。適正価格については、生産者サイドからすれば再生産につながる価格がいくらになるのかということでしょう。その接点が問題となるわけです。いずれにしても、消費者が基点の流通になることは間違いがないと考えています。

三輪:林さんがおっしゃった中で規格という言葉、また、適正価格が消費者基点で産み出されるものだということ、消費者には「値ごろ感」が必要なんだということを頭の中に入れておいて頂きたいと思います。佐藤さんは業務用ということで仕入れているわけですが、産直もされている中、価格のメリットという点ではいかがでしょう。

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