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読み切り

「農」と「食」の未来を創る円卓会議(後編) 目線の揃う人で儲ける手前の話をしよう

叶野幸衛(生産者、山形県藤島町):価格は消費者なり市場で決められるものだと思いますが、我々生産者としては再生産できる価格が必要です。コストがかかるわけですから。市場の方には、これだけの経費がかかるから、最低でもこの値段で売ってもらわなければ駄目だと言っていますが、天候なり需要と供給のバランスの中で決められたものですから、厳しい面もあるようです。ですので、市場だけでやっていると我々農家は採算割れを起こすことが必ずあるのです。その中で私は契約という形で加工関係の人と付合い始めています。山形の庄内地方は水田地帯ですが、そこで今グループを組んで野菜をやろうということで実験的に取り組んでいます。昨年は厳しい状況でした。よいものを作りながら、再生産出来る価格で取組んでいきたいという思いがあります。

三輪:生産者の立場として当然だと思います。再生産コストをまずクリア出来てからということですね。続いてナチュラルシードネットワークの石井さん、ご意見をお聞かせ下さい。

石井吉彦((有)ナチュラルシードネットワーク):今の再生産価格という問題ですが、再生産価格が生産者によって違うということがよくあります。施設栽培と露地栽培では当然違うと思います。反当たりいくらになるのか。我々の全国ネットワークの3割くらいは有機農産物の申請をこれからしようというものを扱っています。まず反当たりどれだけ取れるのかということを考えると、だいたい一般では4t、有機だったら3tという形で出てくると思います。そしてそこには、流通の中で先程言われた規格という問題が入ってきます。ではMやLだけいるとなると、残りはどうしたらいいのか。相場では、上がったり下がったりとバクチのようなものです。相場の中だけでは本当に安心して農業が出来ないのではないでしょうか。そういう意味で、産直という形は決して悪くないと思うのです。

三輪:カゴメの荒木さん。今規格の話が出ましたが、トマトの契約と規格という問題について一言お願いします。

荒木孝夫((株)カゴメ):私共は今、中部地方と関東地方を中心にジュース用トマトの契約栽培をやっております。規格と価格という点に関して、私共はトマトジュースを作るという一点に絞っています。つまりジュースに出来るものというのが絶対の条件です。そこには外観も大きさもありません。ただ当然、痛んでいないことと青いものが入っていないことが条件です。ただ、内容や成分、例えば糖度や、今はリコピンという成分が非常に価値があると言われているので、そういったものを基準に持っていく方向観はあります。従来関東中部を中心に平均0.3ha程の規模で加工用トマトの契約栽培を農家の方々としてきていますが、このままではいけないということから、今関東の方で10ha規模の大規模契約に実験的に取り組んでいます。これはそのような規模にして大幅な生産コストの引き下げを考えてのものです。お蔭様でトマトジュースや野菜生活なども非常に良く支持を頂いています。ペット容器や紙容器に入ったものが大変良く売れていますが、従来の缶に詰めたフレッシュトマトジュースが実数としては減ってきている。しかし多くの方に野菜を飲んで頂きたいという立場ですので、新しい容器であれ価格も下げて、お客さんのニーズに応えていかないといけない。従って原材料のコストを下げて、たくさん売っていくようにしていく。そうなると普通は輸入原料を使うことになるのですが、私共も国内に工場を持っていますので、何とか農家の方と共に加工業として生きていきたいと考えています。それは私共の意地の部分でもあります。、国内でトマトを生産加工してお届けする。そういう道がないだろうか。その答が先程言った10ha規模の実験的取組みということになります。私共としては輸入原料と国内原料のすみ分けということも考えたのですが、すみ分けでは残れないという気がしています。

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