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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

神奈川県三浦市・川名満さんの場合

 これは畑作野菜を経営する人はもとより、多くの農業者が関心を持つべきことです。

 心土破砕や暗渠排水、深耕によって畑地の排水改善や作土層の通気をよくすることが、連作障害による土壌病害の抑制につながることを心得るべきです。

 では、三浦半島のダイコン産地に土壌病害が発生しにくいのはなぜでしょうか。

 これは川名さんともいろいろな角度から話し合いましたが、三浦半島のダイコン産地は、地形が平坦なところが大変少なく、畑一枚の面積も1~2反ぐらいの小さいものが多く、それを隔てる土手や雑木林が開墾されずにしっかり守られていることに関係があるようです。

 そこに大規模野菜産地に見られるような、大区画化するために土木工法によってそれらが取り払われ、単純な生態系と化してしまった地域との違いがあります。

 このモザイク状に点在する畑地以外の自然生態系には、原生動物をはじめとした太古からの微生物が多く生息していて、これらが病原菌抑制に一役買っていると考えられます。

 次に土壌そのものについても、もともとの自然状態の地形に手を加えずに、表土の移動をしないで利用していることが、発病抑制に結びついていることは確かです。

 長い年月による表土としての熟成が完成していて、土壌のあらゆる性質が栽培に最適な状態になっているのです。

 この発病抑止土壌は三重県の鈴鹿山麓に分布する非火山灰土壌がダイコン萎黄病抑止土壌として有名で、本シリーズでも通巻38号で紹介しています。

 この三重県の例でも深い土層と水の縦移動が円滑であることや、長年を経て熟成した土壌腐食などは、三浦半島のそれと比べて大変よく似ています。

 このことからも、野菜作をやり続けていくためには、その畑の排水対策には万全を期し、無理に畑の区画を大きくせずに表土の扱いを慎重に行い、表面で水を流去させないように、暗渠排水などの必要な投資を怠ってはなりません。

 また連作障害の研究においては、連作するとその作物を犯す病原菌が多く発生して病害をもたらす一方、その病原菌に拮抗して繁殖してくる菌が存在することも憶えておくべきです。

 例えばジャガイモのソウカ病などは、連作し発病し始めると一気に増加しますが、一定の限界を超えると少しづつ漸減してくるとよく聞きます。

 これはその病原菌に対抗する微生物、あるいはその抗菌物質を分泌するものが増加してくることが原因と考えられています。

 この理屈は分かるのですが、土壌微生物のバランスを保ち、作物根を健全に生育させて病原菌の侵入しにくい状態にしてやるためには、化学性を適正にしておくことが大事です。

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