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【今年の市場相場を読む】
菌茸類の成長要因は健康か流通か 生シイタケ、エノキダケ、シメジ、マイタケ
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第52回 2000年10月01日
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生シイタケ 輸入拡大を恐れずに対処を。需要別のアイテム作り重要
【概況】
東京市場での生シイタケの産地構成は、近年とくに変化がある。ひとつは中国産を中心とする輸入物のシェア拡大である。平成11年は41.4%となり、2位以下に大きく水を空けている。もうひとつは、かつての王国であった群馬県や福島・栃木などの主産地のシェア低下と、代わって菌床中心の割合が高い岩手県の成長である。また、こうして産地構成が変化してはいるものの、生シイタケの流通量は確実に増加傾向にあるということと、市場の平均単価は安い輸入物によって低下してはいても、既存の国産産地の単価がそれによって安くなっていない、という特徴がある。また、生シイタケの需要は冬に強く、夏場は半減するが、中国産も夏に急激に減少し、これに代わっているのが岩手産である。
【背景】
中国産がシェアを拡大している。確かに東京市場で5000tレベルでの入荷があれば当然である。かつてのトップ産地だって、せいぜい2000tまでで、それ以上は出てこなかった。国内の主産地の入荷が減少傾向にあるのは市場外流通もあるが、中国産の勢いに脅威を感じていることと、時折出ていた“バカ値”が出なくなったことが原因。しかし、現実には安い中国産は確実に消費のスソ野を広げたし、それによって国産の良質品はかつてより堅い評価がされるようになっている。棲み分け状態だ。中国産に対して「セーフガード」を発令せよ、という国内産地もあるが、輸入が脅威なら国産としてどう対処するのかの建設的な対応方法を。
【今後の対応】
生シイタケの等階級は一般には分かりにくい。高いものか、安いものか、という区別くらいしかなく、包装単位も見直しされている気配もない。輸入品は国内に搬入されてから、小売店などの要望に基づいて、包装単位・単価を考えたアイテム作りをしていることに比べると、対応の遅れがある。一部の量販店が「格外」などの規格でPB化しているだけだが、用途別を意識したアイテム作りは重要だ。この点では、他のキノコ類にさえ遅れをとっている。業界全体では、夏場の消費拡大策も必要だが、もっと量販店や外食産業との連携で“望まれる商材・食材”づくりという視点を取り入れなくてはならない。エノキダケに追い抜かれようとしている生シイタケの挽回策が待たれる。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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