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みんなで赤信号を渡っている
福岡県の減反もご多分に漏れず、年々増加している。コメも人気銘柄さえも価格が下落していく。
地域の営農形態も兼業化が進み、田んぼには年寄りばかりが目に付くようになる。
組合員の為に共同で稼働しているはずのカントリーエレベーターも減反が増えると稼働率が下がり、コストが逼迫してくる。コメの新たな販路を開拓するでもない。
組合員の「公平なる負担」がだんだん大きくなり、組勘の中で、籾を農協に出荷した時点で、資材費や共済費は即座に差し引かれ、転作作物の依託費やとも補償の負担はコメの販売額を越える組合員も出てくる。
春先に航空防除の予約を取られ、実際に病害が出るかどうかに関わらず、カレンダー通りにヘリコプターは飛んでくる。いつの間にか仕方無しにコメを作っている兼業農家ばかりになってしまっていた。これでは後継者も出来るはずがない。
「皆で渡るからって、赤信号ではトラックに当てられちゃうようなものさ」と伊藤さん。
「隣がやるから農薬散布も、肥料も…これでは上手く行くものもいかなくなっちゃうさ」
減反も、転作も、補助金も結局のところ、農家に届くころには薄っぺらいものになってしまっている。これから数年先、農村がどうなっているのか? 自分たちの農業経営がどうなっているのか? 考えることさえ憂鬱になる、まさに暗雲たれ込んでいる状態だ。
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