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幕末と未来の百姓に思いを馳せて歴史を耕そう
この本は、1830年代〜1880年代を「幕末維新期」と位置付けて、山形県の村山地方に残された古文書を掘り下げることで、リアルに時代全体を浮かび上がらせることに成功している。主役はあくまでも百姓。仕事の実態や衣食住、百姓一揆の実像、戊辰戦争への関わりにまで踏み込んで描かれた大河ドラマといってもいい。
「百姓たちにとって、上昇のチャンスも豊富にあれば、没落の危機とも隣り合わせだったのが幕末という時代でした(50頁)」「百姓たちも自らの手で干花の加工を行うようになりました。そうなれば、都市の商人に慌てて売る必要はなくなります。より、高値を付けてくれる買い手を、じっくり選んで売ることができるようになったのです(41頁)」
このくだりは、今では山形県の県花になっている弁花栽培発展の歴史を紐解いている箇所である。当時、花の色素は染料や口紅の原料として重宝され、京都などの都会で加工されていたが、彼等は流通革命を起こしたわけだ。時は流れて平成の現代史。いったいどんな古文書を残そうか。(芹澤比呂也)
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