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特集

ケーススタディー だから彼らは選ばれる
小さな市場の多様な取り組みと可能性

【☆農薬使わずに美味しい林檎を作るためあえて手間のかかる栽培法を守る☆】

 さて竹嶋さんの林檎栽培を見ておこう。

「今は5町、始めた当初は2町歩だ。林檎の品種は今は無いわけだども早生の祝から始まって、朝日、ゴールデン・デリシャス、紅玉、国光、スターキング、インド林檎の7品種だ。今は北斗、王林(800ケース)、むつ(100ケース)、スターキング(100ケース)、ジョナゴール(200ケース)、津軽(300ケース)、紅玉(2000ケース)、富士(3500ケース)で多いわけだ。昔は有機だども価格は変わらないわけだ。今でこそ有機農産物を消費者が求めるものになったわけだ」(竹嶋さん)

 竹嶋さんが林檎園を持つ藤崎町の林檎栽培農家は平均耕作面積で7反歩だ。竹嶋さんが始めた当初は2町歩、今は5町歩でどちらかと言うと大きい方だが、品種も多く、有機栽培農法で1本当たりの収量が少なめになる。摘花を多くし、無理に多くの実をつけないし、樹間も広くとる作り方だからだ。

「当時、東京さ送ると1ケース1400円だんべ。大阪は1800円、九州は2400円掛かるべ。したってどうしようもないべ」

 流通コストをどうするかを考えてきた。そこに後述するように1冊の絵本が作られ広められたところから産地直送のきっかけが生まれてくるのである。

「農薬使わねえんだば安く出来るはず言うのもでてきてな。そんなことないわけだ。農薬使わねえべ、その分手間さ掛かかるわけだべ。それがわからねえのさ」

 こう言って竹嶋さんは笑う。


【☆マーケテイングのきっかけは1冊の絵本 帝国ホテルに絞りたてジュースを売る☆】

 竹嶋さんは現在極めて限定された出荷先にだけ林檎を送っている。また紅玉や富士をベースにしてブレンドした絞り立てのジュース1リットルパックを期間限定生産するが、これが帝国ホテルや東急ホテルで使われるようになった。ほとんどが産地直送の小口流通だが、先述したように生協のように比較的大口の取り引きが無かったわけでは無い。現実に出荷できなくなってやめたのである。

 もともとの産直流通のきっかけはある絵本が出たことからだった。

 これは竹嶋さんの蜂を使う農業に関心を持った神戸大学の岩田久二教授(農学博士)が青森に来て調査し、その内容を小学生向けの絵本「青虫狩りをするドロバチ」にまとめ71年に出版したからである。この絵本は現在30刷近い刊行数のベストセラーになっている。

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