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特集

ケーススタディー だから彼らは選ばれる
小さな市場の多様な取り組みと可能性

 北風の恵みもいいが、どうもピンとこないね。やはり赤根を前面にうたった方がいい、と仕入れている林氏は言っていた。

 佐波伊勢崎の赤根法蓮草栽培農家の高木誠氏を圃場に訪ねてみた。ちょうど法蓮草の収穫をしていたが、赤根ではない。隣の畑を指差して「これからですよ」と説明してくれる。

「うちは昭和52年頃から法蓮草主体になりました。高校時代にはまだ桑も残っていましたから」

 高木氏は赤根法蓮草を4反、従来品種を5反作付けし年間で1500ケース(1ケース25束~30束)を出荷するが、このうち約半分に当たる700~800ケースが赤根法蓮草だ。通常の法蓮草(キロ300円前後)にくらべキロ当たりで50円~100円は高く売れることは大きいが、一方で品種が持つ不利な要素も無視できない。それは赤根法蓮草は一般的に言って通常の法蓮草より弱く、特にベト病や過剰水分に弱いということだ。長雨や成長期の降雨による痛みに弱い。収量にも影響する。

 それでもこの赤根法蓮草が作られてきたのは、都市生活者の中での食文化の拡大が後押ししてきたからだ。個性的な食材として、従来なかった食材を求める消費者需要の存在である。

 高木氏は赤根法蓮草に関しては従来の品種と異なる施肥を行っている。

「赤根は独特の甘味を持っています。これを作るのにはできるだけかつてのような施肥や栽培法に近付けることがいいわけですが、農耕センターの栽培指針があるんです。1反当り堆肥1トン、油かす6~7袋で作っています」


【☆赤根法蓮草に力注ぐJA佐波☆】

 現在、JA佐波伊勢崎からの大口流通では、東京市場を通じて東急ストア、コープ東京、オーケーストアなどにこの赤根法蓮草が流れているが、林氏は淀橋青果市場の仲買い人からの情報を掴み、自分が流通させるスーパーにこのおいしい赤根法蓮草を流通させることにしたのである。

 佐波伊勢崎の取り組みは、30歳代から40歳代の一番力のある青年層の活動で活発化してきた。佐波伊勢崎の農耕センターの所長でもある小此木氏はいま44歳、先ほどの高木氏は46歳だ。まさに脂の乗り切った世代がここの農業を推し進めている。

(続く)

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