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特集

ケーススタディー だから彼らは選ばれる
小さな市場の多様な取り組みと可能性

【☆長く魅力的であるために☆】

 平成11年のセンターの売上げは2億3000万円だった。町内に2カ所、2キロ圏の町外にも2カ所、競合する直売所が増え、残念ながらセンターの売上げにも陰りが出てきている。また開設七年目で生産者にも中だるみが見え、「消費者に対し、常に初々しくあるためにどうするかが課題」(堀切組合長)だ。

 そのため来年4月から、いま農家1戸で1口座の売上げの振り込み先を、家族それぞれの名義に分けることを検討中だという。「自分の口座にお金が入るのとそうでないのでは、やはり意識が違う。家族の口座分だけやる気も増えれば」と期待する。

 生産者の自主的判断に任されている規格外や、訳あり農産物などの品質のバラつきも課題だろう。農産物に付いている生産者の名前は、「おいしければまた買う」目安になる一方、「不良品もたまにあるので、名前を覚えていてその生産者のものは買わない」(地元の主婦)と答えた消費者もいた。

 センターでは、クレーム処理は事務局で一手に引き受け、「そうした感度の高い消費者こそ応援団になってくれるので、できる限りていねいな対応を心がけている」(堀切組合長)が、競合店が増えるほど直売所の「安い新鮮」というメリットは薄れ、品質のレベルアップが求められてくるだろう。

 また堀切組合長は、「売上げを競い合うばかりではなく、いのちの糧としての農産物の安全性を生産者にも自覚してほしい」と話し、今後はそうした視点での売り場作りも心がけていくという。
(加藤さちこ)


【データ】「峠の道紫波ふる里センター」
岩手県紫波町佐比内字馬場80―1
TEL.019(674)2757

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