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作物別経営研究

タマネギ ~府県での移植・収穫作業の機械化が課題~

【模索されつつある府県での機械化】

 翻って府県での機械化について考えてみる。まず、府県のタマネギ大産地である兵庫県淡路試験場の小林さんに話を伺ったところ、作業上の一番のネックはやはり移植と収穫にある、近年は徐々に機械化の方向に進みつつあるとのことだった。

 淡路島では平均栽培面積5a、2000以上の農家がタマネギ栽培を行っている。育苗は以前は全て手植えであったが、セル苗に移行しつつあり、去年から70台の移植機が入っている。また、収穫機はヤンマーやクボタの2条用歩行型収穫機が約1000台入っている。

 先述の国定さんによると、淡路島では北海道と違う培土を作る必要があったそうだ。北海道では育苗はハウス内で行われ、水分がコントロールされた状態にある。ところが府県では育苗は苗床で行われ、雨ざらし状態だ。また、北海道に比べると淡路では大きなポットを使用する。タマネギの苗は元々根張りが小さいため播種前に土をバインダー処理するが、淡路の場合更に移植前にもバインダー処理が必要となってしまう。そこで、その代わりに育苗培土をピートモスの入った専用培土にする必要があったのだそうだ。

 その他の地域での移植機の普及状況を聞いたところ、大量ではないが佐賀県や栃木、茨城といった産地とともに新興産地での普及があるとのことだった。

 府県では、タマネギのマルチ栽培が行われているところがある。佐賀県などでは増えているとのことであり、読者の川崎敏樹さんも一部マルチ栽培を行っている。現在のところマルチ栽培に対応したタマネギの堀取り機は市販されていない。一番の問題点はマルチとタマネギを分離するところにある。雑草の問題から考えて、植え付けのための穴はなるべく小さくしたい。小さな穴だと植物が生長し茎が太くなると穴ぴったりとなる。すると収穫時にマルチとタマネギが分離しずらくなるのである。

 ヤンマー農機(株)特機営業部の丸山さんに伺ったところ、従来の歩行型タマネギ収穫機を、マルチカットができるように改造したものが来年発売予定であるとのことである。機構としてはマルチのすぐ上の部分で茎を切り、マルチに切り込みをいれることで従来の堀上が可能となるものである。従来型ものにマルチカットの部分だけをアタッチできるのか伺ったところ、変更箇所が多くなるので専用機種を購入する必要があるだろうとのことだった。

 また、愛知県農業総合試験場では、面白い試みを行っていた。球根類を対象とした松山(株)の堀取り機でマルチごとタマネギを堀上げていく、その後バタバタとマルチをはずしタマネギと分離するというもの。これならば非常に速い堀取りができる。ただしこれは、青取りではなく葉が枯れてからできる技でもあると、松山(株)開発部の金井さんは指摘していた。

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