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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

新潟県五泉市・小林文夫さんの場合

 その改善に10aあたり苦土石灰を160kgとカキガラを60kg程度入れていることです。

 これによってpHはチューリップの求める領域に達するのでそれは良いのですが、ここの土壌は砂壌土で腐植分をほとんど含んでおらず、また土の母岩も痩せた花崗岩と思われ、このことからpHが上昇すると微量要素の欠乏が問題になるようです。

 これは地上部の症状に明確に表せるようなものではなく、生育が何となくうまくないという程度の症状となってあらわれます。

 今回の場合は砂壌土の持つ特性のうち、物理性はすばらしいものですが、化学性においては各種の栄養塩基分、すなわちホウ素、マンガン、亜鉛などの微量要素の不足しがちな土壌となっていました。

 微量要素の欠乏は、酸性側に片寄っていればうまく溶出して何とか作物の吸収に間に合うのですが、pH矯正をして中性付近にするとどうしても溶出しにくくなり、作物に不足気味となってしまいます。

 チューリップはホウ素の欠乏に弱く、症状がひどい場合は花弁のガクの下部に位置する茎部に横にひび割れが入り、花が風でポロリと落ちてしまうという現象がおきます。

 ではこの連作への対策と安定生産のためには何をしたらよいでしょうか?

 まずpHを6.5付近に矯正する酸性改良は必要なことなので、これにより肥効が落ちる微量要素対策をしなければなりません。

 それにはこのシリーズで何度か紹介している転炉スラグを、苦土石灰に変えて10aあたり400~600kg施用したらどうかと考えます。

 10aあたり3万球も球根を植え込むというのは大変な密度であり、この高密度の球根が浅い吸収部分にあって一斉に微量要素を吸収するわけですから、土にとっては大変なことです。

 チューリップ球根生産はオランダが歴史も古く、多くを生産していたのですが、連作の困難さから現在は中国などで委託生産されることが多く、オランダ産とは名ばかりのものもあるようです。

 日本の富山県と新潟県の産地は、冬期に雪をかぶることで極低温から守られており、優良な産地としての評判を長年培ってきたわけですから、ここでもう一度土と施肥法の基本について研究し直すことは、海外との競争力をつける源となるはずです。

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