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お金がないと人間は本当に生きられないのか
子供の頃、不思議に思っていたのに大人になると疑問に思わなくなってしまうことがある。最たるものが、お金に関することだ。なぜ人間だけがお金がないと生きられないのか。成長して社会の仕組みの複雑さを知るとともに、そうした疑問を抱くこと自体が世間知らずと見なされ、いつしかお金がないと生きられないと思いこみ、それ以上考えなくなってしまう。だが、本書は、大人になってなお、この疑問を抱きつづけた著者の行動記録である。
著者の坂口氏は、東京の路上生活者たちの生活の仕方にインスパイアされ、みずから0円で家を立てられることを証明し、そのユニークな活動が海外からも評価されている若き表現者・活動家である。東日本大震災以後、熊本に「独立国家」をつくり、ゼロセンターという避難所を設けたことも話題になった。「考える」とは真剣に「生き延びる」対策を練ること。「そんなこといっても結局はカネだよ」というオトナの決まり文句は、じつは考え抜いた末の結論ではなく、考えることをやめた結果にすぎないのかもしれない。(田中真知)
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