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セーフガード発動をめぐる思惑

師走に九州の園芸産地で自治体主催の講演会に出向いた時のことだった。
 師走に九州の園芸産地で自治体主催の講演会に出向いた時のことだった。話題が一般セーフガード(以下、セーフガードと略す)発動に及び、聴衆の一人から「政府は本当にセーフガード発動するんですか」との質問を受けた。筆者の答えはこうだった。

 「皆さんは政府がセーフガード発動を期待しているようですが、政府はやりませんよ。発動のための調査で時間を稼ぎ、7月の参院選がすめば、特別対策か何かでお茶を濁してチョンですよ」

 これには会場が一瞬、どよめいた。別の聴衆から「でも日本農業新聞には政府は発動すると書いてありましたよ」と突っ込まれた。

 「セーフガードを発動すれば、相手国は報復措置をとることができるんです。それも日本にとって輸出でドル箱の工業製品を狙い撃ちしてくることは十分に考えられます。電子部品や自動車部品がターゲットになれば地域経済に少なからぬ影響が心配されます。それで我が政府はセーフガード発動には及び腰なんですよ。ただ微妙な政治情勢ですので、最初からセーフガード発動せずとは表明できないんです。政府がセーフガード発動せずといえば、自民党は来年の参院選で農村部でも敗北を喫します。産地からセーフガード発動を求める陳情書が自民党にも殺到している状況では、政府も選挙区向けに準備のポーズだけはとらざるを得なかったんです」

 日本農業新聞は、セーフガードが明日にでも発動されるような記事を連日掲載している。例えば12月6日付けは、森改造内閣の組閣を1面トップで報じた脇に、「セーフガード発動へ決意」との白抜きの大見出しが踊っていた。記事もグッと踏み込んでいた。

 「谷津農相は首相官邸での記者会見で、野菜など一般セーフガード(緊急輸入制限措置)について『一日も早く発動できるようにしなくてはならない』と強い決意を示した。また、宮沢喜一蔵相も政府調査の開始に前向きの姿勢を表明した。平沼赳夫通産相も農水省の事態把握次第との立場を示したことで、発動のための政府調査の実施は大きく前進した」

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